未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第三世代

灯編 アラニーズの赤ん坊

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こうして、最初の卵が孵ってから五時間をかけて、三つとも無事に孵った。子供達は三人とも健康そのもの。

『クモに似た昆虫のような体に乳児の体が付いている』

という姿は、完全にヒト蜘蛛アラクネの子供と同じだ。ただし、ヒト蜘蛛アラクネの場合はここからさらに母親の体内で自分の兄弟姉妹を喰らって成長していくんだけどな。

さすがにこの状態で外に出るとさらに死亡率が上がるということかもしれない。だからある程度は母親の体内で育ってから、兄弟姉妹で互いに殺し合うことでヒト蜘蛛アラクネとしての生き方を学んでから、それから出てくるってことかもな。

なので、ビクキアテグ村の周りに生息している<土竜モグラ>を生きたまま与えてみる。すると、本能がそれを餌と認識させるのか、新生児と変わらない体なのに恐ろしい速さで手を伸ばして掴み、食らい付いた。歯はまばらながらすでに何本か生えているようだ。

顔を血まみれにしてバリバリと骨ごと土竜モグラを食うその姿に、

「怖っ!」

「うわ~……」

まどかひなたがドン引きする。それでも、強い嫌悪感は伝わってこない。何しろそうやって生きた動物を血まみれになって食らう姿は、れいを見て慣れているしな。見た目こそ地球人そのものではありつつ純粋なマンティアンであるれいは、小動物などを見掛けると反射的にそれを捕えてそのまま食べてしまうし。

だから、まどかひなたも、そういうのには慣れてる。慣れてるが、さすがに生まれたばかりでそれというのには驚かされたようだ。

その上で、

「これ、ホントにビアンカの赤ちゃん? ぜんぜん似てない……」

まどかが言う。それは見た目のことじゃなくて、ビアンカ自身や黎明れいあの普段の様子と比べての話だというのは俺にもピンときた。

だから、

「ああそうだ。正真正銘、ビアンカの赤ちゃんだよ。でも今は、人間としての感覚が育ってないからこの感じなんだと思う。人間としての感覚が育ってくれば、きっとビアンカそっくりになると思うよ」

と告げた。正直、俺の言ったとおりになるという保証は今の時点ではないものの、その辺りはやってみないと分からない。

ただ、<アラニーズの赤ん坊>と一口に言っても、実際にはやっぱり<個体差>はあるようだ。

何しろ、三人のうちの一人は、土竜モグラを入れると、怯えて孵卵器の中を逃げ回ったんだ。でも狭いから、逃げてもすぐに土竜モグラのところに戻ってきてしまって、

「!?」

逃げた先にも土竜モグラがいたことに驚いたのか体を縮めて丸まってしまったりも。

たぶん、ヒト蜘蛛アラクネの場合、こういう個体は真っ先に他の兄弟姉妹に食われて命を落とすんだろうな……

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