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第三世代
灯編 久利生のパートナー
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朝食を終えた灯とルコアと未来は、黎明に会いに行く。と言っても、隣の家だからすぐだ。でも一応、タブレットを使って今大丈夫か確認を取った上でだが。
「おはよう!」
「おはよう」
灯とルコアが挨拶すると、
「おはよう」
ビアンカが笑顔で応える。黎明に乳を与えつつ。そんなビアンカの表情は、ますます<母親>って感じになってたそうだ。
と、以上は、灯から聞いた話だ。
「ビアンカってばすっかり<お母さん>になっちゃってさ。落ち着いちゃってさ。私とは遊んでくれないんだ! ブー、ブー!!」
と、夕食の時に、タブレットで通信を繋いでいた時に、灯が口を尖らせて言った。すると、
「ごめんごめん」
ビアンカがやはり黎明に乳をやりながら苦笑い。一応、顔しか映さないようにAIにより自動調整されているが、ビアンカ自身は授乳中の姿を俺に見られるのは平気だそうだ。
「錬是さんって、なんか、<お父さん>って言うより、<お母さん>って感じがするんですよね」
とビアンカは言う。そんなビアンカに灯も、
「そうそう! アーカイブん中の映像コンテンツとかに出てくる<父親>ってのとなんか違うんだよ。私はお父さんのことしか知らないからこれが普通だと思ってたけど、コンテンツん中の父親って、別に大したことしてないクセに偉そうで好きじゃない」
だと。だから俺は、
「こらこら、他所様のことをそんな風に言うもんじゃない」
とは言いつつ、
「まあ、思うだけなら仕方ないし、他所様に面と向かって言うんじゃなければ別にいいけどな」
とも付け足した。
『考えることもするな』
『そんな風に感じるな』
なんて言ったってそりゃ無理難題ってもんだからな。そんなものは典型的な思想統制だし。
あくまで俺の前では思ってることを素直に口にしていいが、他所では配慮しろよということだ。
もっとも、その<他所>が今はまだビアンカのところしかないわけで、ほとんど家族みたいなものだし、何より久利生は俺より優秀で有能だ。長年、ビアンカに対して及び腰だったこと以外にケチをつける部分もない。
なにより灯にとっても久利生はあくまで<パートナー>だ。本来なら、ビアンカに続いて子供を作ってもおかしくないんだぞ。
が、何度も言うように俺は、その辺りは灯自身に任せてる。久利生の子供が欲しいと思うならそうすればいいし、そうじゃなくただビアンカと姉妹のように振る舞いたいなら、それでもいい。好きにすればいいんだよ。
灯自身が幸せなら、俺はそれでいい。
「おはよう!」
「おはよう」
灯とルコアが挨拶すると、
「おはよう」
ビアンカが笑顔で応える。黎明に乳を与えつつ。そんなビアンカの表情は、ますます<母親>って感じになってたそうだ。
と、以上は、灯から聞いた話だ。
「ビアンカってばすっかり<お母さん>になっちゃってさ。落ち着いちゃってさ。私とは遊んでくれないんだ! ブー、ブー!!」
と、夕食の時に、タブレットで通信を繋いでいた時に、灯が口を尖らせて言った。すると、
「ごめんごめん」
ビアンカがやはり黎明に乳をやりながら苦笑い。一応、顔しか映さないようにAIにより自動調整されているが、ビアンカ自身は授乳中の姿を俺に見られるのは平気だそうだ。
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「そうそう! アーカイブん中の映像コンテンツとかに出てくる<父親>ってのとなんか違うんだよ。私はお父さんのことしか知らないからこれが普通だと思ってたけど、コンテンツん中の父親って、別に大したことしてないクセに偉そうで好きじゃない」
だと。だから俺は、
「こらこら、他所様のことをそんな風に言うもんじゃない」
とは言いつつ、
「まあ、思うだけなら仕方ないし、他所様に面と向かって言うんじゃなければ別にいいけどな」
とも付け足した。
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あくまで俺の前では思ってることを素直に口にしていいが、他所では配慮しろよということだ。
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なにより灯にとっても久利生はあくまで<パートナー>だ。本来なら、ビアンカに続いて子供を作ってもおかしくないんだぞ。
が、何度も言うように俺は、その辺りは灯自身に任せてる。久利生の子供が欲しいと思うならそうすればいいし、そうじゃなくただビアンカと姉妹のように振る舞いたいなら、それでもいい。好きにすればいいんだよ。
灯自身が幸せなら、俺はそれでいい。
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