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第三世代

蛮編 奇妙な連帯感

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ヒト蛇ラミアは、ばんを無視してドーベルマンMPM四十二号機にまず襲い掛かった。

けれど、ばんの前でそれをするというのは、普通に考えれば自殺行為だと思う。実際、ドーベルマンMPM四十二号機が攻撃を躱そうと身を捻るとヒト蛇ラミアの意識がそちらに向いて、その隙をばんは見逃さなかったし。

ヒト蛇ラミアの顔に容赦のない本体側の蹴りを叩き込んだんだ。ヒト蛇ラミアも蹴りが当たる直前に躱そうとして多少は威力も削いだものの、

ゴシャッッ!!

という音と共にヒト蛇ラミアの顔が歪んだ。顎が完全に砕かれたか。

恐ろしい表情をしていたことで本来の<ビアンカと同じ顔>はそもそも台無しになっていた上に、これでさらに痛ましいそれになった。閉じなくなった口からはダラダラと粘液が滴るが、それが透明な血液なのか涎なのかは区別がつかない。

それをもたらしたばんには尻尾による攻撃がお見舞いされた。

すると、ばんの手(触角)にはいつの間にか太い木の枝が。それで尻尾の攻撃を掃ってみせた。枝は折れたが、ばんは改めて別の枝をへし折ってそれを手にした。これは、明らかに<道具>として使っている……?

まさか、ヒト蜘蛛アラクネが道具を使うとは……!

ヒト蛇ラミアの危険さを本能的に察して、対策したんだろうか?

それは分からないが、いずれにせよこれは驚きの事実だった。そして、ばんがさらに勝機を高めた可能性はある。

とは言え、ヒト蛇ラミアの攻撃性はなおも衰えない。これほどのダメージを負いながらまったく凶暴さが衰えないんだ。自身の体のことさえそもそも頭にないのかもしれない。ただただ対象を破壊することだけしか考えていないということか。

やはり生物としては有り得ない存在ということだろうと改めて実感する。

だからダメージを受けながらも戦闘力そのものは大きく下がっていないようだ。それにゆえに、ドーベルマンMPM四十二号機はヒト蛇ラミアの<習性>を活かした。自身が視界に入ると必ず向かってくることを活かし、ばんの存在を意識から外させるために動いたんだ。それをばんが利用する。

実に息の合った連係プレイだった。ずっとばんの傍で彼を観察し、その間に奇妙な連帯感を築いていたのかもしれない。

もっとも、それがなければ危険だった。いや、それがあるからこそかろうじて何とかなっていたというべきか。ヒト蛇ラミアの攻撃は先ほどの若いヒト蜘蛛アラクネを惨殺してみせた時と大きく変わっておらず、真っ向戦えば同じ結果になっていた可能性は高い。

事実、

「ッッ!?」

ドーベルマンMPM四十二号機に掴みかかろうとしつつばんに再び尻尾で攻撃、彼が枝でそれを掃おうとした際に尻尾の先がさらに枝を回り込んでばんの頬を切り裂き、その上で枝を手にした手(触角)にも叩き付けられた。

パギッッ!!

小枝が折れるような、しかし小枝のそれとは少し違う音。

枝を手にしたばんの右手(触角)の指の部分、小指と薬指にあたる部分が、宙を舞っていたんだ。

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