未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第三世代

蛮編 命が潰えて

ヒト蛇ラミアの尻尾の一撃を受け、若いヒト蜘蛛アラクネの動きは確実に鈍っていたようだ。しかも判断力も衰えたのか、手（触角）でヒト蛇ラミアの腕を掴もうとしてしまう。

瞬間、ここまでの戦いで表皮が破れて露出していたヒト蛇ラミアの鱗が若いヒト蜘蛛アラクネの皮膚をずたずたに切り裂き、肉を抉る。

「ギッ…！」

掌の肉がごっそりと抉られて、一部の指に至っては骨まで露出していた。正視に堪えない有様だな。

ヒト蛇ラミアを押さえるために組み付くことさえできず、若いヒト蜘蛛アラクネに明らかに焦りの色が見える。

この若いヒト蜘蛛アラクネの体には、あまり多くの傷は見えなかった。非常に高い才能に恵まれたことでこれまで大きな危機に陥ったことがなかったのかもしれないな。絶体絶命の状態から起死回生の目を掴み取るために足掻いた経験がなかったのかもしれない。

今回がまさにそれとなる可能性もあったんだろうな。

生き延びられさえすればだが……

けれど、この若いヒト蜘蛛アラクネには、それをもたらしてくれる＜運＞がなかったようだ。＜力＞は十分だったとしても、今の時点でヒト蛇ラミアに出遭っていなければ、またはほんの少し何か運の巡り合わせが良ければ生き延びて、今回のことを経験として活かせたのかもしれないが……

残念ながら、それがなかったということか。

意図的に狙ったわけではないかもしれないにせよ、ヒト蛇ラミアは怯んだ若いヒト蜘蛛アラクネ目掛けて杭を打ち出すかのように左の拳を繰り出し、彼の股間を叩き潰した。

グヂャッッツ！！

という嫌な音と共に彼の睾丸も陰茎も潰れる。きっと、落雷にでも撃たれたかのような衝撃と痛みが脳へと突き抜けただろうな。緻密に再現されてはいても使い道のないそれではあったとはいえ、人間と同じように神経は集中しているのは分かってる。

「ッッッ！？」

声にならない声を上げて、若いヒト蜘蛛アラクネの意識が一瞬飛んだのが分かった。

それが致命的だった。このヒト蛇ラミア相手に一瞬でも無防備になればそれは死を意味するだろうしな。

動きを止めた彼の体を、ヒト蛇ラミアの胴が絡みつき、締め上げていく。

「ゲ…ボァ……ッ…！」

絞り出されるような音を喉から漏れさせ、若いヒト蜘蛛アラクネの体が歪んでいく。

ボギッ！

グギッ！

ボリボリボリッッ！

などと、嫌な音を立てながら。

こうしてまた一つ、命が潰えていく。おそらく才能に溢れた有望なそれだったであろう命であっても、容赦なく。

突然現れたヒト蛇ラミアによって。

そうだ。このヒト蛇ラミアは、この密林にとってはただの＜破壊者＞である。自然のサイクルなどまったくお構いなしにただただそこにあるものを破壊するだけの存在だ。

生命の円環サイクルからは完全に外れた存在なんだ。