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第三世代

蛮編 致命的なダメージ

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若く活力に溢れたヒト蜘蛛アラクネの連続攻撃にヒト蛇ラミアの消化器官が裂け、食べたものの一部が体内に漏れ出ているのが、その透明な体ゆえに確認できてしまった。

これは、普通の生物であればそれこそ致命的なダメージだと思う。にも拘らず、ヒト蛇ラミアはそれをものともせずに体を起こし、

「ゴアアアアーッッ!!」

と吠えた。まったく戦意に衰えは見えない。それどころかさらに激しく激高している。すさまじい憎悪を煮え滾らせ、自身を打ち据えた若いヒト蜘蛛アラクネを睨み付ける。

対して、若いヒト蜘蛛アラクネの方も怯むことなく、

「ガアッッ!!」

と牙を剥く。この一合により自身の方が優位だと感じたのかもしれない。実際、あの三本の脚を同時に繰り出す蹴りは、ヒト蛇ラミアにさえ確実にダメージを与える威力があったということか。

なのにヒト蛇ラミアの方はそのダメージそのものを意に介していないようだ。そして若いヒト蜘蛛アラクネに襲い掛かる。

すると若いヒト蜘蛛アラクネの方は右に体を躱そうとした。

「!!」

ヒト蛇ラミアもそれに反応し、軌道を変える。が、それは若いヒト蜘蛛アラクネのフェイントだったらしい。右へと動いた瞬間に左へと転じ、ヒト蛇ラミアの右側面に隙を見出して飛び、再びあの三本同時の蹴りを繰り出す態勢を。

なのにその瞬間、

「ガッッ!?」

若いヒト蜘蛛アラクネの人間のようにも見える部分が弾かれるようにのけぞって、肩口から脇腹に掛けて肉が抉られ、血が霧のように飛び散った。

ヒト蛇ラミアの尻尾だ。ヒト蛇ラミアがわざと自身の隙を晒して若いヒト蜘蛛アラクネを誘導、そこに尻尾の一撃を食らわせたんだ、しかも、ただ叩き付けるんじゃなく、捩じり込むようにして。

これにより、尻尾にびっしりと並んだ刃物のような鱗が、若いヒト蜘蛛アラクネの肉を抉り取ったということか。

しかも、ヒト蜘蛛アラクネにとっては<弱点>とも言える人間のようにも見える部分への強烈な一撃。

「ゴハッッ!!」

若いヒト蜘蛛アラクネが口からも血を吐き出した。どうやら肋骨の一部が粉砕され、<人間のようにも見える部分の肺にあたる臓器>が大きく傷付いたらしい。

これは大変なダメージだった。大量の出血が肺(にあたる臓器)に溜まり、呼吸を妨げているのかもしれない。『自身の血で溺れる』状態ということか。

ただ、ヒト蜘蛛アラクネの呼吸器官はそこだけでなく、本体の側にもあるので、すぐに致命的なダメージとはならないけどな。ならないが、パフォーマンスには確実に影響するか。

おそらく肺の片方は完全に潰れて機能を失ってる。これは人間もそうであるように自然治癒はしない。傷は癒えても、肺の機能そのものは完全には戻らないんだ。

若いヒト蜘蛛アラクネの力は確実に削がれたということだ。

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