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第三世代

蛮編 遅滞戦闘

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現在、ドーベルマンMPMには、麻酔薬のアンプルも装備してある。それ用の拳銃型の射出装置も。が、麻酔薬のアンプルの針がまったく刺さらないどころか、金属音を立てて弾かれてしまう。今回のヒト蛇ラミアも、みずちがく夷嶽いがく牙斬がざんと同じく、<タングステン並みの強度の鱗>を備えていることが確認された。

だから、ドーベルマンMPMには、<遅滞戦闘>を命じることになった。そもそも一体では対処のしようがないので、なるべくヒト蛇ラミアを自身に引き付けつつこの場に停滞させることで時間を稼ぎ、増援の到着を待つんだ。

エレクシアとアリアンの到着には三時間とさすがに絶望的だが、先に向かわせたドーベルマンMPMの到着までは約七百二十秒。とは言え、果たしてそれまで持ち堪えられるかどうか……

だが、ロボットであるドーベルマンMPMは文句も言わなければ絶望もしない。己の全能力をもって命令の遂行を目指すのみだ。木々を盾としヒト蛇ラミアの攻撃を凌ぎ、援軍の到着を待つ。

それこそ紙一重で攻撃を凌ぎつつ、焦りも恐怖も感じさせない姿。ロボットなのだから焦ったり恐怖を覚えたりしないのは当たり前なのだが、見ている方がそういうものを感じてしまう光景だな。しかし同時に、ドーベルマンMPMでも、こうやって戦い方によっては<遅滞戦闘>くらいはできるということでもある。

理論上はこのままヒト蛇ラミアをひきつけておくことも可能なはずだったんだ。

でも、<不確定要素>というものがこの世に存在するということか、ヒト蛇ラミアの攻撃を躱すために地面を蹴ったドーベルマンMPMの足が滑ってしまった。滑って十分に加速できなかったところにヒト蛇ラミアの右手が届いてしまった。ドーベルマンMPMの<ヘルメットとゴーグルを着けた人間>を思わせるデザインの頭部が捉えられてヒト蛇ラミアの手の内に残り、ボディとは離れ離れに。

まあ、ドーベルマンMPMの頭部には各種センサーと通信装置が内蔵されているだけで、動物のような<脳>があるわけじゃないから、頭をもぎ取られても死にはしない。しないが、センサーの大部分が納められた頭部を失っては、それまで通りの動きはできないのも事実。

本体側にも備えられた予備のセンサーで対処しようとするものの、それではまったく話にならない。

ドーベルマンMPMの命運も、まさに<風前の灯火>だった。しかし、間一髪、増援として向かわせたドーベルマンMPM二機が間に合った。それによってリンクを行い、無事な二機のセンサー類の情報を共有することで、何とか動きを取り戻したんだ。

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