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第三世代

蛮編 必殺の一撃

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<人間のようにも見える部分>と<本体部分>がそれぞれ別の対象に集中することができるというのも、ヒト蜘蛛アラクネの強みだった。本体側には目はなくとも目に勝るとも劣らないセンサーもある。

だからこそ、透明なマンティアンと戦っている隙を狙ってきたボクサー竜ボクサーの相手もできる。

とは言え、手数そのものは分散されてしまうので、ボクサー竜ボクサーの狙いも実は悪くはないんだろうな。普通のヒト蜘蛛アラクネならこれで追い詰められたりもするだろう。

しかし、ばんは違った。ヒト蜘蛛アラクネとしては高い知能をもつばんは、襲い掛かってきたボクサー竜ボクサーを、本体側の脚で、透明なマンティアン目掛けて蹴り飛ばしてみせた。自らはわずかに下がりつつ。

すると、突然目の前に吹っ飛んできたボクサー竜ボクサーに、透明なマンティアンは咄嗟に反応してしまった。ついボクサー竜ボクサーの方に意識を向け、鎌を繰り出しさえしてしまう。

この隙を、ばんは見逃さなかった。ボクサー竜ボクサーを左の鎌で捉えた透明なマンティアンの右腕を掴み引き寄せ、さらに脚を蹴って掃い、バランスを崩させたんだ。しかし相手もされるがままにはならず倒れ込みながらももう片方の脚で地面を蹴って、ばんの<人間のようにも見える部分の腹>に、ヘルメットのような頭からロケットのように突っ込んできた。

頭突きだ。マンティアンの頭はそれ自体が鈍器であり、武器である。それこそまともに食らえば内臓が破裂してもおかしくない。

それほどの威力を持つ必殺の一撃なんだ。だが、それはあくまで『人間なら』ではの話。今回のような命のやり取りこそが日常であるばんは頭突きを食らいながらも透明なマンティアンの首に腕(触角)を絡ませ、そのまま地面に俯せになるように覆いかぶさっていった。

相手も手足を地面に着いて首を引き抜こうとしたがばんの力はそれを許さず、透明なマンティアンの頭をそのまま背中側に折り曲げるようにしてそこに自らの体重も掛ける。

瞬間、

バギッッ!!

という恐ろし気な音が響き、<透明なマンティアン>の体がビクッと硬直。続けて、ビクビクッと痙攣を始めた。彼女の頸椎がへし折れた音だった。

打撃には強い体を持つマンティアンだが、てこの原理で首を限界以上に折り曲げられれば、さすがに持ち堪えられなかったんだ。

ばんの勝利だった。

しかもこの時、ばんは、飛び掛かってくるボクサー竜ボクサーを退けつつそれをやってのけたという。

そうしてボクサー竜ボクサーを払い除けつつ立ち上がった彼の足下には、体は地面に俯せに倒れているのに顔は空を向いている透明なマンティアンの体があったのだった。

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