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第三世代

蛮編 補助的な脳

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「ギヒッ!」

ばんの完璧な右フックを顔面に食らい、<透明なマンティアン>が怯む。が、それは一瞬だった。もともとマンティアンは衝撃に非常に強い肉体をしていたからな。人間であれば『脳が揺れる』と言われるような状態が起こるような状況でも、ほとんどそれが生じないとみられてる。

<天然の装甲>とも言える外皮部分の強度に加え、肉体の構造そのものが衝撃を緩和することに優れていからだろう。ゆえに、打撃系の攻撃には滅法強いということのようだ。

それもあってか、<透明なマンティアン>も左の鎌でばんの右手(触角)を捉えようとする。

「!!」

しかし、その攻撃の危険性を察していたばんは素早く右手(触角)を下げ、鎌を躱してみせた。

ヒト蜘蛛アラクネ全体としての動きではマンティアンに追いつけないばんではあるものの、<人間のようにも見える部分>だけの動きなら、負けてはいなかった。それどころか、続けて繰り出される左右の鎌を、的確に両手で払い除け、透明なマンティアンの腹に足(触角)で前蹴り。弾き飛ばす。

そこに、本体側の脚で追撃。

しかしそれは躱され、逆にばんの顔目掛けて透明なマンティアンが回し蹴り。これを頭を下げて躱したばんに、狙いすましたかのようにさらに続けて回し蹴りを。

これについては本体ごと後ろに下がることで躱してみせた上ですぐさま前に出て、今度はばんが前蹴り。透明なマンティアンも頭を逸らすことでそれを躱した。

と同時に、ばんの<人間のようにも見える部分の腹>を狙って足を跳ね上げる。これを、ばんは前蹴りを放った足(触角)で受け止めた。

実に見事な攻防だった。

ばんも透明なマンティアンも、一歩も退こうとしない。互いの間合いに入ってしまっていることで、下がろうとすればそれが隙になってしまうことをどちらも察してるんだろうな。

再び、双方とも足を止めて、全力の手業の応酬。

だがこの時、

「!?」

ばんの<流体センサー>が別の何かを捉えていた。すると、反射的に本体側の脚が跳ね上げられ、蹴りを繰り出す。

「ゲヒッッ!!」

その蹴りが捉えた対象が悲鳴を上げて弾き飛ばされた。ボクサー竜ボクサーだった。ボクサー竜ボクサーが、ばんと透明なマンティアンの攻防に乱入したんだ。

透明なマンティアンとの戦いに気を取られているばんを狙ったようだ。さすが油断ならない。

とは言え、ばんの能力はそんなボクサー竜ボクサーの狙いをも上回った。

それというのも、ヒト蜘蛛アラクネは、その巨体を確実に素早く制御するために、頭の部分の脳だけでなく、<補助的な脳>とも言うべき大きく発達した神経節を本体側に複数持ち、そちら側でもある程度は体の制御ができてしまうんだ。

つまり、人間のようにも見える部分で透明なマンティアンの相手をしていても、本体側もそれとはまったく関係なく反撃ができるということだな。

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