上 下
1,416 / 2,387
第三世代

ホビットMk-Ⅰ編 娘にとって父親は

しおりを挟む
新暦〇〇三四年六月三日



そんなこんなで、本格的な採掘に向けての試掘と、様々な素材の供給の拠点として<ボーキサイト丘陵>を役立てるべく、様々な資材を送り出すことになった。コーネリアス号に積まれていた試掘用の設備を活かすんだ。

そのために、ワイバーンⅢ型に積めるだけの資材を積んで空輸。ドーベルマンMPMも十機送り込んで、拠点を建設する。

こんな時、フローティングヘリが使えれば、資材の空輸もトン単位で行えるんだがなあ。

しかし、ないものを嘆いても始まらない。

なのに、この世ってやつは時に驚くくらいに皮肉だったりもする。

まあそれは、結果としてそうだっただけで、この時点じゃまったく予測もしてなかったんだけどな。









新暦〇〇三四年九月二日



積載重量百五十キロ程度のワイバーンⅢ型では、必要な機材もそのままで運ぶことはできなかった。分解し、部品ごとに何度も運んで現地でドーベルマンMPMらがそれを組み立てるという、実に非効率的な作業しかできなかったんだ。

だから、実際にボーキサイトの試掘を始めるまでさえ、何ヶ月もかかってしまった。

そして昨日には、ひかりが第二子である萌花ほのかを出産。陣痛が始まってからわずか二時間の超安産で、萌花ほのかが生まれてから三時間後にはひかりはいつも通りに動けていた。

もちろん、野生で生きるパパニアンとしての能力があればこそのものだろうが、我が娘ながらなんとタフな。

ひなたも妹の誕生に大喜びで、うららもそんなひなたにつられてかはしゃいでいた。まあ、意味はあんまりよく分かっていないんだろうが。

血は繋がっていないとは言え、まどかも喜んでくれている。

「かわいい~♡」

ひかりの胸に抱かれて乳を飲む萌花ほのかを覗き込んで、まどかは笑顔になる。そして、

「私も赤ちゃん産みたい…!」

とか言い出した。そんなまどかに対して、ひかりは、

「そうね。まどかもパパみたいな素敵な相手が現れたらね」

穏やかな表情で応えた。でも、それに対してまどかは、

「え~? パパは好きだけど、<素敵>っていうのとは違うかなあ……」

なんてことを。これは手厳しい。

だが、娘にとって<父親>なんてそんなものだろう。まどかじゅんと血は繋がってないが、父と娘でそういう関係にならないように、娘にとって父親は<素敵な異性>という風には見えないように基本的になってるのかもな。

ひかりあかりも、俺のことは好きだし尊敬してると言ってはくれてるが、<異性>として見れば『違う』と感じるそうだし。

つまり、じゅんまどかにとってちゃんと<父親>でいてくれたってことだと思う。

目立った活躍はしてないかもしれないが、じゅんも立派にやってくれてたんだよ。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】Fragment

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:335

病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

SF / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:529

いまさら好きだと言われても、私たち先日離婚したばかりですが。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:563

どうやら、我慢する必要はなかったみたいです。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,961pt お気に入り:3,042

世界⇔異世界 THERE AND BACK!!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:307

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:1,291

婚約破棄 ~ガチでやられると結構キツい~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:4,522

処理中です...