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第三世代
ホビットMk-Ⅰ編 娘にとって父親は
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新暦〇〇三四年六月三日
そんなこんなで、本格的な採掘に向けての試掘と、様々な素材の供給の拠点として<ボーキサイト丘陵>を役立てるべく、様々な資材を送り出すことになった。コーネリアス号に積まれていた試掘用の設備を活かすんだ。
そのために、ワイバーンⅢ型に積めるだけの資材を積んで空輸。ドーベルマンMPMも十機送り込んで、拠点を建設する。
こんな時、フローティングヘリが使えれば、資材の空輸もトン単位で行えるんだがなあ。
しかし、ないものを嘆いても始まらない。
なのに、この世ってやつは時に驚くくらいに皮肉だったりもする。
まあそれは、結果としてそうだっただけで、この時点じゃまったく予測もしてなかったんだけどな。
新暦〇〇三四年九月二日
積載重量百五十キロ程度のワイバーンⅢ型では、必要な機材もそのままで運ぶことはできなかった。分解し、部品ごとに何度も運んで現地でドーベルマンMPMらがそれを組み立てるという、実に非効率的な作業しかできなかったんだ。
だから、実際にボーキサイトの試掘を始めるまでさえ、何ヶ月もかかってしまった。
そして昨日には、光が第二子である萌花を出産。陣痛が始まってからわずか二時間の超安産で、萌花が生まれてから三時間後には光はいつも通りに動けていた。
もちろん、野生で生きるパパニアンとしての能力があればこそのものだろうが、我が娘ながらなんとタフな。
陽も妹の誕生に大喜びで、麗もそんな陽につられてかはしゃいでいた。まあ、意味はあんまりよく分かっていないんだろうが。
血は繋がっていないとは言え、和も喜んでくれている。
「かわいい~♡」
光の胸に抱かれて乳を飲む萌花を覗き込んで、和は笑顔になる。そして、
「私も赤ちゃん産みたい…!」
とか言い出した。そんな和に対して、光は、
「そうね。和もパパみたいな素敵な相手が現れたらね」
穏やかな表情で応えた。でも、それに対して和は、
「え~? パパは好きだけど、<素敵>っていうのとは違うかなあ……」
なんてことを。これは手厳しい。
だが、娘にとって<父親>なんてそんなものだろう。和は順と血は繋がってないが、父と娘でそういう関係にならないように、娘にとって父親は<素敵な異性>という風には見えないように基本的になってるのかもな。
光も灯も、俺のことは好きだし尊敬してると言ってはくれてるが、<異性>として見れば『違う』と感じるそうだし。
つまり、順は和にとってちゃんと<父親>でいてくれたってことだと思う。
目立った活躍はしてないかもしれないが、順も立派にやってくれてたんだよ。
そんなこんなで、本格的な採掘に向けての試掘と、様々な素材の供給の拠点として<ボーキサイト丘陵>を役立てるべく、様々な資材を送り出すことになった。コーネリアス号に積まれていた試掘用の設備を活かすんだ。
そのために、ワイバーンⅢ型に積めるだけの資材を積んで空輸。ドーベルマンMPMも十機送り込んで、拠点を建設する。
こんな時、フローティングヘリが使えれば、資材の空輸もトン単位で行えるんだがなあ。
しかし、ないものを嘆いても始まらない。
なのに、この世ってやつは時に驚くくらいに皮肉だったりもする。
まあそれは、結果としてそうだっただけで、この時点じゃまったく予測もしてなかったんだけどな。
新暦〇〇三四年九月二日
積載重量百五十キロ程度のワイバーンⅢ型では、必要な機材もそのままで運ぶことはできなかった。分解し、部品ごとに何度も運んで現地でドーベルマンMPMらがそれを組み立てるという、実に非効率的な作業しかできなかったんだ。
だから、実際にボーキサイトの試掘を始めるまでさえ、何ヶ月もかかってしまった。
そして昨日には、光が第二子である萌花を出産。陣痛が始まってからわずか二時間の超安産で、萌花が生まれてから三時間後には光はいつも通りに動けていた。
もちろん、野生で生きるパパニアンとしての能力があればこそのものだろうが、我が娘ながらなんとタフな。
陽も妹の誕生に大喜びで、麗もそんな陽につられてかはしゃいでいた。まあ、意味はあんまりよく分かっていないんだろうが。
血は繋がっていないとは言え、和も喜んでくれている。
「かわいい~♡」
光の胸に抱かれて乳を飲む萌花を覗き込んで、和は笑顔になる。そして、
「私も赤ちゃん産みたい…!」
とか言い出した。そんな和に対して、光は、
「そうね。和もパパみたいな素敵な相手が現れたらね」
穏やかな表情で応えた。でも、それに対して和は、
「え~? パパは好きだけど、<素敵>っていうのとは違うかなあ……」
なんてことを。これは手厳しい。
だが、娘にとって<父親>なんてそんなものだろう。和は順と血は繋がってないが、父と娘でそういう関係にならないように、娘にとって父親は<素敵な異性>という風には見えないように基本的になってるのかもな。
光も灯も、俺のことは好きだし尊敬してると言ってはくれてるが、<異性>として見れば『違う』と感じるそうだし。
つまり、順は和にとってちゃんと<父親>でいてくれたってことだと思う。
目立った活躍はしてないかもしれないが、順も立派にやってくれてたんだよ。
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