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第三世代

新編 尻軽女

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新暦〇〇三四年四月二十日



そんなこんなで、きっかけがあると一気に状況は変化していった。もちろん、一日二日でとはいかないが、一週間もすれば、完全に元通りになった。

うららひなたまどかの三人で遊んで、じゅんに連れられて密林に入って、食事をして、と。

ただ、変わった点もある。

以前は密林から戻るとうららあらたにべったりで、その間にひなたまどかは勉強をしてたりしたんだが、あらたがいないことで、うららは、ひなたにべったりになったんだ。

ひなたが自分をすごく労わってくれたことを実感したんだろう。

これも、地球人だと、

あらたにフラれたら今度はひなたか! この尻軽女が!!』

的なことを言う奴もいるだろうが、そういう奴は、大前提が全く違っているという現実が見えていないだけだから、そんな戯言に耳を貸す必要もない。うららは地球人じゃない。パパニアンだ。地球人の感覚は通用しないんだよ。

野生に生きる以上、パートナーを得ようとするのはまったく自然なことだ。フラれたら次を探すのは当然なんだよ。むしろ吹っ切るのにこんなに時間がかかることの方が、本来は普通じゃないんだ。むしろ、うららにしつこくアピールをしてくる若い雄のように、うららがダメだと思ったら他の雌に行って、でもその雌がダメだったらまたうららにアピールして、っていうのが普通なんだよ。

まあ、俺も、あの雄についてはちょっと度が過ぎてる気はするけどな。

しかも、あの雄、また群れの中の雌にアピールして、なんとようやくOKをもらえたらしく、雌と一緒にいるところがメイフェアのカメラに捉えられていた。

「正直、私も連れ戻そうかと思いました」

メイフェアが苦笑いでそう口にしてたのが、ようやくあるべき姿に落ち着いたということか。

ただ、ひなたうららがべったりになったことで勉強の方がちょっと集中できなくなってたりもしてるみたいだが、まあ、うららが元気になってくれたんなら、別にいいさ。ひなたまどかも別に受験とかがあるわけじゃない。単に人間としての基礎的な知識を身に付けてもらえればと思ってやってるだけのことだ。

慌てる必要もないさ。それに、勉強ってやつは、あんまり押し付けようという形でやればやるほど身につかない傾向が強まるそうだ。楽しんで遊びながらやるくらいが一番いいとも聞く。

だったら、焦らずにうららも一緒に遊びながらやってくれればいい。

で、こうして何とかうららが<あらたロス>を乗り越えてくれたと思ったら、今度はアカトキツユ村で変化が。

あらたが、あんずとますらおの家の屋根で、また、<パパニアンの子供>の毛づくろいをしてたんだ。

そのパパニアンの子供の名は、<レト>。

うららと同じく、群れでイジメられて逃げ出したのを、なんとメイガスが助けてくれたんだ。

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