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第三世代

新編 個人的な主観

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俺は、

『自分にとって都合の悪い者は処分していい』

という考えを是認しない。もちろん、生きるためには他の命をいただかなければいけないし、問答無用でこちらを殺しに来る相手には、場合によっては苛烈な対応を取る必要もあるのは分かってる。だが、相手がマンティアンやアクシーズやヒト蜘蛛アラクネであっても、あくまで互いに距離を置くことで、あるいはこちらの強さを知ってもらうことで、折り合いをつけることを優先する。

夷嶽いがく牙斬がざんのような相手にでは、手加減も難しいものの、実際に殺さずに追い払うこともできたんだ。それができたのに、夷嶽いがく牙斬がざん程の脅威でもない相手を、

『都合悪いから』

『こちらの価値観を理解しないから』

『気に入らないから』

などという<個人的な主観>で殺していいとは思わない。

だからこそ、うららがパニックを起こし騒いでも、彼女を排除すればいいとは思わないんだ。ましてや、対応に人手が足りないならドーベルマンMPMを作って配すればいい今の状況でな。

これは、<綺麗事>なんかじゃない。自分自身が。自分の家族が、他人の勝手な判断で殺されたりしないようにするための、れっきとした<生存戦略>なんだ。

うららがもし、誰かを傷付けようとするなら、それは俺達の対処が拙かっただけに過ぎない。彼女が他人に対して攻撃的にならないようにする方法を知っていながら適切に対処しなかったのは、俺達のミスだからな。

そうやって誰かを気遣うことに対してひどく反発する奴も地球人の中にはいたが、そんなもの、自分が気遣ってもらえないことを妬んでいるだけじゃないか。そうやって他人を妬んで攻撃的になる奴が周りからどう思われるかを、なぜ考えられないんだか。自分が他人から気遣ってもらえないのは、『気遣ってあげたい』『労わってあげたい』と思ってもらえないような振る舞いを自分がしているからだというのにな。

かつてほまれの群れにいた<らい>がまさにそういうタイプだったな。周囲に対して攻撃的で横柄な態度で自分本位な振る舞いばかりだったことで誰からも信頼されず、結果、力尽くでボスの座に収まったもののすぐに別の雄にその座を奪われ、残念な結末に終わった、らい

憐れな奴だったよ。

周囲から気遣ってもらえない労わってもらえないのは、自分が原因なんだがな。

しかし、そんな奴でも、地球人である以上は、命までは奪われたりしない。それを担保するために、『都合悪いから』『こちらの価値観を理解しないから』『気に入らないから』などという<個人的な主観>で殺していいわけじゃないということになっているんだ。

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