上 下
1,344 / 2,554
第三世代

新編 自分の縄張り

しおりを挟む
新暦〇〇三四年二月二日



そんな風にほまれの群れにも動きが見られ、確実に世界は移ろっていく。老化抑制処置を受けている俺自身はまだ自分が歳を取っている実感はほとんどないんだがな。

それほど先でもない未来に、子供達との<別れ>が迫っているんだ。

ひそかじんふくようの時とはまた違うかもしれないにしても、決して愉快なことじゃないのは間違いない。

すると今度は、めいのところでも動きが。と言うか、変化が。

せいが完全に巣立ったようなんだ。結構な時間、めいかくの巣の近くに自分の巣を構えていたせいだったが、完全にめいかくの縄張りから離れたところに新たな巣を見付けたようだ。

そこは、俺達の集落を回り込むように移動した場所だった。めいの弟でせいにとっては叔父にあたるじょうの縄張りとは正反対になる感じか。この辺りも、ドーベルマンDK-aによる哨戒を行っている範囲で、その所為もあってか他のマンティアンが近付かない空白地帯だった。そこに滑り込む形で縄張りを確保したわけだ。

かんの子や、メイフェアや、イレーネとの戦いから、約一年。せいも立派に成長した。体はまだ少し小さいかもしれないが、もう十分、一人前のマンティアンとしての力も付けている。実は、他の若いマンティアンとも戦って、追い払ったりもしたんだ。今度は、父親であるかくに助けられることなく。

となればそれこそ、巣立たない方がおかしいよな。

幸い、今の縄張りは、パパニアンであるほまれ達の縄張りとは離れているから襲うようなことはないだろう。

えいと違って普通のマンティアンとしての感性を持って育ったせいは、母親のめいや叔父のじょう、兄のえいと違って、パパニアンも狙う。だから、縄張りが離れてくれたのはありがたい。

まあ、ほまれ達の縄張りは元々、めいかく、そしてじょうと彼のパートナーであるゆうの縄張りと重なっているから、せいの入り込む余地はなかったけどな。

せいも、空白地帯に楽々収まれたのならよかっただろう。

ただ、彼の認識では、俺達の集落も<自分の縄張り>のうちかもしれない。つまり、せいが俺達を襲う可能性は、否定できない。

もっとも、そのためにドーベルマンDK-aを配しているわけで、その上に、エレクシアとイレーネがいるここを狙うような愚かな真似はしない。と思う。特にイレーネにはしっかりと力の差を思い知らされているしな。

だから、その点では何も心配していない。ただ心配があるとすれば、しんえいが狩りに出た時に、せいと鉢合わせてしまう可能性だ。これについては、確実に守ってもらうため、ドーベルマンMPMを二機こちらにも派遣してもらって、それぞれ、しんえいの護衛についてもらう。

あとついでなので、ヒト蜘蛛アラクネの<ばん>にも監視役としてドーベルマンMPMをつけることにした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

処理中です...