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第三世代

ビアンカ編 胎児

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そして、俺が考えてる程度のことは、ビアンカや久利生くりうだって考えてくれてる。

『自分だけがその考えに至ってる。境地に至ってる』

なんてのはただの<思い上がり>だし<傲慢>だ。俺にできる程度のことならできる人間だって他にもいるんだよ。ビアンカや久利生くりうは、まさに、

<俺にできる程度のことはできる人間>

だ。むしろ俺よりずっと優秀だ。久利生くりうなんてそれこそ<チート>だしな。実に頼もしい。

とは言え、人間である以上、何もかもを一人でやってのけられるわけじゃない。能力の高い低いじゃなく、『物理的に無理』という場合だってある。

加えて、きたるを亡くしたことを悲しみ、それを引きずる感性もある。俺ほどはメソメソしないかもしれないとしてもな。

でも、『力を貸してほしい』と言う時は力を貸すさ。人間(地球人)はそうやって生きてきた。たぶん、朋群ほうむ人もそう大差はないだろう。個々の力が強い分、一人でできることも多いかもしれないが。

きたるが眠る池の畔で寄り添い合うビアンカと久利生くりうを、あかりが見詰めていたそうだ。二人の結び付きを確かめていたんだろうな。









新暦〇〇三四年四月二十五日



それから二週間後、

「ほらここ、これが胎児ね」

モニカがハンディエコーを使って、シモーヌが画像に丸を付けた。そこには、豆粒のような<何か>。

「うわあ……」

ビアンカがそう溜息のような声を漏らす。看護師としての経験もある彼女は、胎児のエコー画像も見たことはあるものの、

「やっぱり、さすがにまだ目に見えて<胎児>って印象はないですね……」

とも。しかし、シモーヌは、

「そうね。でも、これで確定。もちろんこのまま妊娠が継続されるとまでは断定できないけど、まずはおめでとう、ビアンカ」

はっきりと告げた。

「やったじゃん! ビアンカ!!」

あかりが満面の笑みを浮かべて祝福する。

「おめでとう、ビアンカ、久利生くりう

俺やシモーヌと一緒にタブレットで参加してたひかりも、<先輩母親>として二人を祝福してくれた。

「赤ちゃん!? ビアンカの赤ちゃん!?」

「すげー! すげー!」

ひかりにまとわりつくようにしてタブレットを覗き込んでいたまどかひなたも、嬉しそうに飛び跳ねながら声を上げる。そして、そんなひなたに、少し戸惑った様子のうららが抱き着いて、一緒に跳ねていた。

とは言え、じゅんや、ほむらや、さいや、れいや、しんや、えいには何のことかさっぱり分からないようで、いつものごとくそれぞれ好き勝手にしてたけどな。

ただ、この場に、あらたの姿はなかった。と言うか、俺達の集落に、彼はいないんだ……それについてはまた改めて触れることにするとして、でも今は、素直に、ビアンカが久利生くりうとの子を授かったことを喜ぼう。

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