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第三世代

ビアンカ編 どうせ作り物だから

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俺はな、ひかりあかりの前で、怒鳴ったり暴力を振るったりということは避けるようにしてきた。誰かを侮辱し、見下し、蔑み、貶す、なんてことも意識的に避けるように心掛けてきた。その上で、つい、ということがあっても、そんな自分を正当化しないようにも心掛けてきたんだ。

親が、子供の前で、誰かを怒鳴ったり暴力を振るったり侮辱したり見下したり蔑んだり貶したりってのをすれば、子供だって『そういうものだ』と学び取ってしまうと考える方が自然だとは思わないか? 何しろ、他でもない<親>がやってるんだからな。乳幼児の頃の子供にとってはそれこそ<絶対的な存在>である親がだ。その影響が小さいと考える方がどうかしてるとは思わないか?

ずっと傍にいるわけでもない赤の他人が与える影響が、親が子供に与える影響を上回れると、なんで考えられる?

そう考えようとするのは、結局、<自分以外の誰かの所為>にしたいというただの願望じゃないのか?

俺は、そんなことは考えない。子供達を自分の勝手でこの世界に送り出した俺の責任を、<誰かの所為>にすることで回避できるとは思わないんだ。

でまあ、俺が、ひかりあかりの前で、誰かを怒鳴ったり暴力を振るったり侮辱したり見下したり蔑んだり貶したりってのをしないように心掛けて、もしついついやらかしてしまってもそんな自分を正当化しないように心掛けてたから、ひかりにもあかりにも、他人を怒鳴りつけたり暴力をふるって従えようとしたり、侮辱したり見下したり蔑んだり貶したりっていう感覚がそもそもないんだよ。

確かに、光莉ひかり号やコーネリアス号のアーカイブにあった各種映像コンテンツとかを見たことで多少の影響も受けたかもしれないが、そんなものは所詮、俺がひかりあかりに与えた影響から比べれば微々たるもんだ。

当たり前だろ? そんなもんが、ひかりあかりの<生殺与奪の権>を握ってるか? 映像コンテンツの中の登場人物が、ひかりあかりの命に関わるようなことができるか? できるわけないよな。

だが、親である俺にはそれができてしまう。乳幼児だった頃には、それこそ実際に生殺与奪の権さえ握ってた。その俺が与える影響が、たかが映像コンテンツに負けるとか、おかしいだろう?

映像コンテンツがひかりあかりに与えた影響なんて、俺が与えた影響の上にうっすらと乗っかってるだけだ。だから、映像コンテンツ内の登場人物が誰かを怒鳴ってたり暴力で従えようとしてても、

『どうせ作り物だから』

で済まされてしまうんだよ。実感がないんだ。俺がそれをしてこなかったからな。

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