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第三世代

ビアンカ編 サーペンティアン

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新暦〇〇三四年四月十一日



ルコアについては俺は直接関わってないからどうにも踏み込んだ部分についてはよく分からない面もありつつ、ビクキアテグ村にもすっかり馴染んで明るくなったのは、当然、分かる。

これまでも触れてきたが、村での役目も、積極的にこなそうとしてくれてる。<児童労働>だなんだと地球人の社会じゃ言われるだろうが、別に、労働力として彼女を必要とはしてないんだよな。労働力なら、ドーベルマンMPMで間に合ってるんだよ。その上で、モニカやハートマンやテレジアやグレイがいりゃ、ルコアは日がな一日遊んでてくれたって何にも困らない。

ただ、ルコア自身が、

『一方的にお世話になるだけなのはイヤ』

って思ってくれてるんだ。

これは、ビアンカやあかり久利生くりうが、彼女にとって、『一方的にお世話になるだけなのはイヤ』だと思える相手だということでもある。

人間ってのは善人なだけでも聖人なだけでもいられない。嫌な相手には<恩>を感じることも難しい。それが素直に感じられる関係だというのが大事なんだと思う。

だから、ルコアも、自分が思ってることを素直に口にしてくれるようになった。

「私、赤ちゃんとか産めるのかな……」

あかりと一緒にいつもの作業をしようとしてる時、ぽつりとそんなことを口にする。

それに対してあかりは、

「どうだろう? 私はアクシーズだから、サーペンティアンのことはよく分からないしなあ」

正直にそう応える。分からないことを適当に応えることをあかりは基本的にしない。分からないことは『分からない』と素直に応える。その上で、

「その辺、どうなの? お父さん」

傍で別の作業をしていたモニカに問い掛ける。カメラとマイクがONになっていて俺に聞こえていることを分かっていての行動だ。

「そうだなあ。シモーヌはどう思う?」

俺も、あんまり無責任なことは言えないし、ここはシモーヌにと思って話を振る。

「そうね。研究者の立場としては、『身体機能的には十分に妊娠・出産が行える可能性がある』と言わせてもらおうかな。ルコアの体について調べた限りでは、ちゃんとそれが可能な体だって断言できる。もちろん、健康そうな人でもなかなか妊娠に至らないという事例も現にあるけど、その辺は、実際に試してみないと分からないから。今の時点ではなんとも。そもそも相手がいないと試しようもないし」

「だよね~」

「ですよね」

シモーヌの答えに、あかりとルコアは共に笑顔になる。ルコアの方はやや苦笑いな笑顔だったが。

なんて、割と突っ込んだ話もできるようになってたんだ。あんが見付けて、コーネリアス号に収容した頃とは、本当に変わったよ。

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