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第三世代

ビアンカ編 メカニズム

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「たぶん、妊娠ね」

シモーヌはそう言った後、

「ただし、これはあくまでデータ上、その兆候が見られるというだけの話。さすがにエコーでも現状ではたぶん見えないから、それが確認できてやっと確定だから。今の時点で喜んでもぬか喜びになるかもだから、浮かれないこと」

とも釘を刺した。

だが、ビアンカもあかりも、揃って頬が緩んでニヤけ顔が抑えきれていなかった。

「うん、うん」

「分かってる。分かってるよ」

とか言いながらもな。

しかし、理論上は確かに有り得ないことでもなかったらしいが、まさか本当にそんなことが起こるとはな。

「私も、研究者としては大変に興味深いというのは正直なところかな」

データが表示された画面を凝視しながら、シモーヌは言った。

「アラニーズとしての生殖機能も有した上で、人間の体を再現しただけの部分が妊娠するというのは、驚きよね」

とも。しかしその上で、

「ただ、妊娠という現象自体を人間(地球人)は神秘的なもののように捉えすぎだけど、クローンを育てるための<人工子宮>はすでに技術として完成したものになってるからね。科学的にはそのメカニズム自体は判明してるから、つまるところ、必要な条件さえ整えてあげれば当然それが再現されるのも分かりきってることなのも事実。『<再現性>こそが科学』だと、先人達も言ってきてるしさ」

どこか嬉しそうにそう言った。

「要するに、その機能さえあるなら、人間(地球人)を再現した方の体で妊娠したって何の不思議もない。ってこと」

彼女のその言葉に、俺も納得したよ。

『アラニーズとしての生殖機能があるんだから、それ以外の方法で妊娠なんてするはずがない』

なんてのがそもそもただの<思い込み>だったんだ。

それを改めて思い知らされた。



一方、素戔嗚すさのおの方はと言うと、こちらもかなり凶暴性が抑えられてきていて、ためしに、ビアンカが座り込んで自分の腹を撫でて、それを守るようにドーベルマンMPMを配置すると、

「……」

しばらくビアンカの姿を見詰め、それから、彼女の前に立ちはだかったドーベルマンMPMの手を掴んで、<力比べ>を始めた。以前のように苛立って無茶苦茶に攻撃してくるわけじゃなく。

そんな素戔嗚すさのおに、ビアンカが微笑みかけると、視線を逸らしてドーベルマンMPMをひたすら押した。ドーベルマンMPMの方も、素戔嗚すさのおの挑戦を丁寧に受け止める。

ここまで、徹底してビアンカが彼の挑戦を受けて立ってくれたことで、彼にも余裕ができたようだ。

一度や二度で分からせようとするんじゃなくて、素戔嗚すさのお自身が納得するまで丁寧に相手をしてくれたことが、功を奏したんだろうな。

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