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第三世代
ビアンカ編 瓢箪から駒
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結局その日、ビアンカが現れなかったことで素戔嗚は酷く機嫌を損ねた様子で、気を失うまでドーベルマンMPMに挑みかかっていた。ビアンカ相手なら、そこまでしなくなっていたというのに。
それを見たビアンカは、
「明日は、私が素戔嗚の相手をします。三日目だし、きっと楽になっていると思いますから」
と告げた。
ちなみに、ここで手に入った材料を用いて作った<痛み止め>は、残念ながら十分な効果はなかったようだ。多少はマシになった印象はあったらしいものの、楽にはならなかった。
「これは、本格的な痛み止めの開発が必要ね」
ここまでも決して怠けていたわけじゃないが、さらに多くの素材を採集し、必要な成分を抽出できるものを見付けることを急ぐ。それには、アリゼドラゼ村やアカトキツユ村の開拓の際に、これまで発見されていなかった動植物があれば確保、母艦ドローンで運搬し、届けてもらうことをさらに精力的に行うようにしたんだ。これにより、シモーヌはさらに忙しくなるだろう。
ところで、採取されたビアンカの卵子の遺伝子情報と、久利生の協力で採取した彼の精子の遺伝子情報とを用いたシミュレーションの結果。
「シミュレーション上では、問題なく胎児として成長した。しかも、人間(地球人)の姿で」
シモーヌがそう発表してくれた。もちろん、ただのシミュレーションだからその通りになるとは限らない。限らないが、精度は決して低くない。
「やったじゃん! ビアンカ!!」
「うん……! うん……! ありがとう、灯…!」
灯とビアンカが、やっぱり飛び上がって喜んだ。
そうだな。灯にしても、ビアンカには幸せになってもらいたかった。もちろん、子供を生むことが幸せとは限らないものの、ビアンカにとっては久利生の子を生むというのは、いわば<悲願>だったんだ。アラニーズに生まれてしまったことで諦めていたそれが、こうして突然叶えられる可能性が出てきたとなれば、嬉しくないわけがない。灯にとっても、ビアンカと久利生の幸せこそが幸せなんだ。
そして、もし、ビアンカと久利生の間に子供ができれば、いよいよ、なに一つ遠慮することなく、灯も久利生との子を望めるようになるだろう。
まったく、これこそが、
『瓢箪から駒』
というものかもしれないな。
ただ、同時に、ビアンカと久利生の愛が深かったことで、互いを強く求め合っていたことで、休眠状態だったビアンカの肉体の機能が揺り起こされた可能性は高い。そうじゃなければ、これはなかったかもしれないんだ。
「よかったね、ビアンカ」
ルコアも嬉しそうだ。大好きなビアンカが喜んでるのが嬉しいんだろう。
それを見たビアンカは、
「明日は、私が素戔嗚の相手をします。三日目だし、きっと楽になっていると思いますから」
と告げた。
ちなみに、ここで手に入った材料を用いて作った<痛み止め>は、残念ながら十分な効果はなかったようだ。多少はマシになった印象はあったらしいものの、楽にはならなかった。
「これは、本格的な痛み止めの開発が必要ね」
ここまでも決して怠けていたわけじゃないが、さらに多くの素材を採集し、必要な成分を抽出できるものを見付けることを急ぐ。それには、アリゼドラゼ村やアカトキツユ村の開拓の際に、これまで発見されていなかった動植物があれば確保、母艦ドローンで運搬し、届けてもらうことをさらに精力的に行うようにしたんだ。これにより、シモーヌはさらに忙しくなるだろう。
ところで、採取されたビアンカの卵子の遺伝子情報と、久利生の協力で採取した彼の精子の遺伝子情報とを用いたシミュレーションの結果。
「シミュレーション上では、問題なく胎児として成長した。しかも、人間(地球人)の姿で」
シモーヌがそう発表してくれた。もちろん、ただのシミュレーションだからその通りになるとは限らない。限らないが、精度は決して低くない。
「やったじゃん! ビアンカ!!」
「うん……! うん……! ありがとう、灯…!」
灯とビアンカが、やっぱり飛び上がって喜んだ。
そうだな。灯にしても、ビアンカには幸せになってもらいたかった。もちろん、子供を生むことが幸せとは限らないものの、ビアンカにとっては久利生の子を生むというのは、いわば<悲願>だったんだ。アラニーズに生まれてしまったことで諦めていたそれが、こうして突然叶えられる可能性が出てきたとなれば、嬉しくないわけがない。灯にとっても、ビアンカと久利生の幸せこそが幸せなんだ。
そして、もし、ビアンカと久利生の間に子供ができれば、いよいよ、なに一つ遠慮することなく、灯も久利生との子を望めるようになるだろう。
まったく、これこそが、
『瓢箪から駒』
というものかもしれないな。
ただ、同時に、ビアンカと久利生の愛が深かったことで、互いを強く求め合っていたことで、休眠状態だったビアンカの肉体の機能が揺り起こされた可能性は高い。そうじゃなければ、これはなかったかもしれないんだ。
「よかったね、ビアンカ」
ルコアも嬉しそうだ。大好きなビアンカが喜んでるのが嬉しいんだろう。
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