未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第三世代

ビアンカ編 不満

新暦〇〇三四年三月一日



とは言え、実際に妊娠となると、話はそんなに単純じゃない。普通に人間（地球人）の妊娠でもいろいろあるんだから、今のビアンカと久利生くりうの子供となると、それこそ何が起こるか分からない。

しかし、

「データを見る限りでは、連是れんぜと、密ひそか、刃じん、伏ふく、鷹ようの件でもそうだったように、問題なく妊娠し出産に至る可能性は十分にあると思う。ただ、それはあくまで、データ上の話。実際に妊娠してみるまで分からない。一応、このデータを基にシミュレーションもしてみるけど、結果は期待しないでほしい」

専門家としてのシモーヌの言葉は、どこまでも冷静で客観的だった。

「それは……覚悟してる」

ビアンカは、タブレット越しではありつつ、シモーヌにはっきりとそう言ったのだった。



が、ビアンカの方の事情など素戔嗚すさのおにすれば何の関係もなく、そしてビアンカも、それは承知していた。元々の世界では＜低用量ピル＞を用いて作戦行動中に月経が始まったりしないようにはしていたとはいえ、ここには残念ながらそれはないし、そもそも始まってしまったものは止められない。

実はコーネリアス号の医務室には各種薬品も残されていたものの、さすがに二千年も経過していたので、使用期限などとうの昔に過ぎ去っており、酒やコーヒーは、あくまで品質上飲めるか飲めないかだけの話であって、分析器に掛けて飲めるとなれば飲んだものの、医薬品はなあ。いろいろ心配だったから、シモーヌの判断ですべて処分したんだよ。ワクチンを作る装置があればそちらで何とかなると思ったし、保存状態さえ問題なければ理論上劣化することのない医療用ナノマシンともまったく別のものだしな。

「大丈夫です。やれます」

昨日の夕方は、ビアンカはそう言って、素戔嗚すさのおを迎え、実際にしっかりと相手をしてみせた。とは言え、最初の頃に比べると早々に撤退してくれるようになっていたのは助かっただろうな。

しかし今日はかなり辛かったそうで、

「今日は、ドーベルマンMPMに任せた方がいい」

「はい……」

久利生くりうに命じられて、ドーベルマンMPMに任せることにした。とは言え、

「…？　……？」

素戔嗚すさのおの方は、どうしてビアンカが出てこないのか明らかに戸惑い、まるでその不満をぶつけるかのようにドーベルマンMPMに無茶苦茶に襲い掛かって、しかも時間も長かった。最初の頃に戻ってしまったかのような有様だ。

彼としても、ビアンカにかまってほしかったのかもしれない。

「素戔嗚すさのお……」

家の中で安静にしながらタブレットで素戔嗚すさのおの様子を見ていたビアンカも、悲し気な表情をしてたのだった。