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第三世代

ビアンカ編 昼食

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昼食は猪竜シシ肉のステーキと温野菜のサラダだ。

どうしても肉メインのメニューにはなるものの、死が隣り合わせの過酷な環境で生き抜くにはそういう感じになるか。

そもそも、ビアンカもルコアも未来みらいも肉食寄りの体だし。

久利生くりうだけは、三人のそれにはついていけないので野菜が多めではある。

ちなみにきたるは、先に池の魚を捕らえて済ませていた。

今日の昼食の担当は、モニカとテレジア。さすがロボットだけあって料理は完璧だ。

正直、人間(地球人)の社会における食肉用に品種改良された牛や豚に比べると味は格段に落ちるというのが事実ではあるものの、それを調理法や味付けで補ってくれてるのがありがたい。

<料理は科学実験>

とかつて誰かが言ったそうだが、それを二体は体現し、食感がよくなり旨味が増すように下準備の段階から手を尽くしてくれている。人間だと、さすがにそこまではやっていられないという手間であっても不満一つ漏らさずにやってくれるんだ。

肉を柔らかくする成分を含んだ野菜と一緒にスープに浸け込み、ちょうどいい状態になるまで常にセンサーで捉えつつ、他の仕込みを行うというのも、人間の場合にはよほどの腕を持つ料理人でなければ難しいだろうな。

ビアンカも、料理はできるものの、あくまで、

『普通の家庭料理ができる』

程度なので、モニカやテレジアが徹底的に下準備を行ってくれた具材を使って手早く料理するだけなんだ。これは、シモーヌも同じである。

最初のうちは<質のいまいちな肉>のままでも我慢できたが、人間(地球人)という奴は贅沢な生き物だからな。だんだんそれじゃ満足できなくなってストレスになっていくんだよ。それでも、『他に食うものがない』『食べなきゃ死ぬ』という状態だとまだ諦めもつくものの、生活そのものに余裕ができるとな。<食の楽しみ>は大きな意味を持ってくる。

そういう意味でも、モニカやテレジアやエレクシアやセシリアがいる俺達は恵まれてる。

コーネリアス号の乗員の中にも、いわゆる<職人>レベルの料理人がいて、食事を振る舞ってくれたそうだが、残念ながらシモーヌもビアンカも久利生くりうもメイガスもそこまでじゃないんだ。

非常に優秀な人材ではあるものの、決して万能じゃない。それが人間というものだな。

こうして家族揃って昼食を終え、寛ぐ。

未来みらいは食後の運動とばかりに川に飛び込んで猛然と泳ぐ。これも、俺達の目にはただふざけてるようにしか見えなかったりするものの、あくまで水中での体の使い方などを身に付けるための習性らしい。

この辺りも、分かってないと、

『何をふざけてるんだ!』

とか怒鳴ってしまいそうな部分ではある。

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