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第三世代

ビアンカ編 難しい話

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<安全保障上の重要な課題>

とか、大仰な話じゃなくても、自分の両親がお互いに相手を<ATM>だとか<家政婦>だとか思ってるのを見てて、それで両親を信頼できるか? 尊敬できるか? って話だよ。

ビアンカ自身が言ってたんだ。

「無理です。私にはそんな親、信頼も尊敬もできません。だから私は、そうならないようにしたいんです」

とな。

元々、彼女は、実の両親に対しては少なからずわだかまりもあったから、余計に実感があるんだろう。

だから、自分が信頼も尊敬もできなかった親と違う道を選べるなら、選ぶために俺達が協力してくれるというのなら、迷わずそれを選ぶということだ。

人間(地球人)には、『目先の満足感優越感を優先してしまう』という悪癖があった。そこで自分を抑えればさらに良い結果が得られるというのに、目先の満足感優越感のために自分を抑えることをせず、結果、自ら問題の種を蒔くというな。

ちっぽけな満足感優越感のために他者に対して理不尽に振る舞えば、相手から反感を買ったり恨まれたり憎まれたりすることだってある。そんなことは、子供だって実感していることのはずだ。意地悪されれば意地悪してきた奴に悪感情が湧くのはな。

なのに、いい歳をした大人でさえそれをわきまえなかったりもする。俺達はそれを改めていこうと考えてるんだ。

『そんなことができるはずがない!』

と言う人間もいるかもしれないが、そんなこと、いい歳をした大人が胸を張って言うようなものか? それ、

『自分は堪え性のない人間です!』

『自分は我慢一つできない人間です!』

って言ってるようなものだと思うけどな。

俺達は、

『精神的に落ち着ける環境を作ることで、後々のリスクに繋がるような行為については無理なく自制できるようにしていこう』

と言ってるんだぞ? ストレスが掛かり過ぎない、自分をあたたかく労ってくれる誰かが常にいる環境の中で、それでも自分の満足感優越感ばかりを優先したいって言うのか? 子供でもそこまで我儘じゃないのが多いのに、大人がそれを言ってるのなら、いくらなんでも恥ずかしくないか? 

少なくとも俺は恥ずかしいと思う。だから、そういうのが当たり前な大人ではいたくないだけなんだよ。

たったそれだけのことが、そんなに実現不可能に思えるか?

『ずっと大人に虐げられ続ける環境で、自分が大人になった時には、子供の頃にされたことを次の子供に対してやらずにいられない』

ってな状況だったらまだ分からなくもないが、ここじゃ、今の時点では子供を理不尽に虐げる大人はいない。

『自分が子供の頃にやられたことを、次の子供にやる』必要がないんだ。

なのにそんなに難しい話か?

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