未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第三世代

モニカとハートマン編 立て直し

ルコア自身の＜能力＞にも助けられ、手術は順調に続いた。と同時に、防衛体制も立て直す。

そして何より、

「ただいま到着しました」

待ちに待ったエレクシアの到着。これでもう安心だ。

「ルコアっ！」

それまで軍人として取り乱すまいと自分を強く律していたビアンカが、「これより十分間、休息を」と、上官である久利生くりうからの命令を受け、＜娘を心配する母親の顔＞になり、自身のゴーグルを通じてモニカとリンクした。

「っ！」

モニカのカメラを通してルコアの姿を見て息を呑むのが伝わってくる。負傷者を見るのは慣れてるとしても、それが自分の娘も同然であるルコアのとなると、さすがに冷静ではいられないか。

ここまで本当に親身になってルコアに接してきて、ビアンカ自身にとってもルコアの存在が今では支えになってるのが分かる。何しろ、他の獣人達に比べても一際異形の者同士。そういう意味でも二人は特に近い存在だというのもあるんだろう。結び付きが強くて当然だ。

むしろ、よく我慢したと思うよ。ビアンカが秘めている強靭な精神力がそこからも分かる。まあ、軍人としての役目を離れると意外と脆い一面も確かにあるが、その辺は、すべての面において揺らぐことのない人間なんてまずいないわけだから、無理もないさ。

「大丈夫だ、ビアンカ。ルコアは強いよ。危険な状態は脱した。予断は許さないものの、現時点では命に別状はない」

『命に別状はない』というのは、あくまで、ルコア自身の能力も考慮に入れてのものであって、普通の人間であれば、どちらに転んでもおかしくない状態だったそうだが。

とは言え、エレクシアもこれで牙斬がざんに対処できるんだ。ルコアのことはまだ心配でも、牙斬がざんについては、正直、エレクシア一人に任せておいても大丈夫なくらいだろう。牙斬がざんの能力で、エレクシアに勝てる要素は見当たらない。嶽がくの時は、あの巨体そのものが強大な武器になっていたことでエレクシアだけでは勝ち切れない可能性があっただけで、彼女が負ける要素は実はなかったんだ。俺が一人で焦ってただけだな。

それでも、久利生くりうは油断することなく、ルコアの手術を行いながら、ハートマン達に次の指示を与えていた。それは決して、エレクシアを信用していないわけじゃない。彼女を信じた上で、それでも起こるかもしれない＜万が一＞を想定しているんだ。

まったく、すごいよ。本当にすごい。

などと、俺が感心している間にもルコアの手術は進み、ハートマン達は、エレクシアを主軸に態勢を立て直したのだった。