1,206 / 2,387
第三世代
モニカとハートマン編 どこまでも無茶苦茶な生き物
しおりを挟む
牙斬は、サーモバリック爆弾が使われる際に、何かを察したのかもしれない。そして、穴に身を潜めていた猪竜の代わりに自分が穴に伏せた上に猪竜を盾に使ってサーモバリック爆弾が生み出した炎熱地獄を凌いだんだろう。
「サーモバリック爆弾は、確かに強力な武器だが、実は、地下などに潜んだ対象については十分な威力を発揮しないという面もある。とは言え、完全に万能な武器というものも存在しない以上、状況に合わせて適切な武器を使えば済むことなんだが、それにしても、な……」
久利生が説明してくれる。
確かに、地下に設けられた施設などを攻撃するためには、<バンカーバスター>などと呼ばれるミサイルなどもあると聞く。それぞれ一長一短・向き不向きがあり、使い分けるのが本来の在り方だろう。まさか牙斬のような逃れ方をするとは、普通は考えない。
と言うか、普通の人間だったらそんな隠れ方をしただけじゃ助からないはずなんだ。たった数十センチの深さしかない穴に潜って猪竜の体で塞いだからといって、普通は完全に熱を遮断し切れなくてやっぱり死ぬ。死ななきゃおかしい。そういう意味では、適切な武器を使ったと言っていいはずだ。
この辺も、おそらく、牙斬の全身を覆う、何層にも重なって生えた鱗が断熱材の役目をしたんだろうが、どこまでも無茶苦茶な生き物だ。デタラメ過ぎる。
それでも、嶽や夷嶽が相手なら、これで片が付いてたはずだ。はずなんだ。あの巨体じゃ、牙斬のような凌ぎ方はできなかった。
地球でかつて大型の恐竜が大絶滅して、ごく一部の小型の恐竜が辛うじて生き延びて鳥に進化した以外は、地下などに潜んで環境の変化をやり過ごした哺乳類が数を増やし、恐竜に取って代わったと言うが、まさかここでも、
『体が小さいからこそ凌げた』
というのを見ることになろうとは。
いや、今はそれどころじゃない。ここを突破されたということは、実質、ビクキアテグ村で戦うことになるのと同じだ。
「ルコア、外敵の襲撃だ。モニカと一緒に家の中に避難しておいてほしい。敵の狙いはおそらく僕だ。君はおとなしくしていればたぶん襲われない」
久利生が、ゴーグルに仕込まれたヘッドセットとモニカを通じてルコアに告げた。
牙斬がビアンカをスルーしたことから、ルコアも同様に牙斬の標的にはならないだろうという推測からのものだったが、正直、確定的なそれではないので、気休めに過ぎないだろう。それでも、可能性は高い。
加えて、ルコアにはしっかりと身を潜めておいてもらった方が戦いやすいというのもあるだろう。
「はい……!」
ルコアも、素直に応じてくれたのだった。
「サーモバリック爆弾は、確かに強力な武器だが、実は、地下などに潜んだ対象については十分な威力を発揮しないという面もある。とは言え、完全に万能な武器というものも存在しない以上、状況に合わせて適切な武器を使えば済むことなんだが、それにしても、な……」
久利生が説明してくれる。
確かに、地下に設けられた施設などを攻撃するためには、<バンカーバスター>などと呼ばれるミサイルなどもあると聞く。それぞれ一長一短・向き不向きがあり、使い分けるのが本来の在り方だろう。まさか牙斬のような逃れ方をするとは、普通は考えない。
と言うか、普通の人間だったらそんな隠れ方をしただけじゃ助からないはずなんだ。たった数十センチの深さしかない穴に潜って猪竜の体で塞いだからといって、普通は完全に熱を遮断し切れなくてやっぱり死ぬ。死ななきゃおかしい。そういう意味では、適切な武器を使ったと言っていいはずだ。
この辺も、おそらく、牙斬の全身を覆う、何層にも重なって生えた鱗が断熱材の役目をしたんだろうが、どこまでも無茶苦茶な生き物だ。デタラメ過ぎる。
それでも、嶽や夷嶽が相手なら、これで片が付いてたはずだ。はずなんだ。あの巨体じゃ、牙斬のような凌ぎ方はできなかった。
地球でかつて大型の恐竜が大絶滅して、ごく一部の小型の恐竜が辛うじて生き延びて鳥に進化した以外は、地下などに潜んで環境の変化をやり過ごした哺乳類が数を増やし、恐竜に取って代わったと言うが、まさかここでも、
『体が小さいからこそ凌げた』
というのを見ることになろうとは。
いや、今はそれどころじゃない。ここを突破されたということは、実質、ビクキアテグ村で戦うことになるのと同じだ。
「ルコア、外敵の襲撃だ。モニカと一緒に家の中に避難しておいてほしい。敵の狙いはおそらく僕だ。君はおとなしくしていればたぶん襲われない」
久利生が、ゴーグルに仕込まれたヘッドセットとモニカを通じてルコアに告げた。
牙斬がビアンカをスルーしたことから、ルコアも同様に牙斬の標的にはならないだろうという推測からのものだったが、正直、確定的なそれではないので、気休めに過ぎないだろう。それでも、可能性は高い。
加えて、ルコアにはしっかりと身を潜めておいてもらった方が戦いやすいというのもあるだろう。
「はい……!」
ルコアも、素直に応じてくれたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる