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第三世代

モニカとハートマン編 穴

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半径数百メートル内の多くの生物を死滅させることになる<サーモバリック爆弾>を、本当は使いたくなかった。実際、ドーベルマンMPMらが管理してくれていた畑が二つ消滅し、インパラ竜インパラ猪竜シシをはじめとした数種の動物、さらにオオカミ竜オオカミの群れが巻き込まれたのが確認できてしまったんだ。

牙斬がざんを倒すためには止むを得ない判断だったとはいえ、正直、その判断を下すしかできなかった自分を殴ってやりたいとさえ思う。

なにしろ、巻き込まれたオオカミ竜オオカミ達は、かつてビクキアテグ村を襲った群れではあるものの、あかり達の強さを思い知って、それ以来、穏当にお互い不干渉を貫けてる、<良き隣人>だったんだ。

それを、こちらだけの都合で犠牲にした。

この事実が恨めしい。

錬是れんぜ。今回の決断を進言したのは僕だ。責任は僕にある。君が気に病む必要はない……」

久利生くりうはそう言ってくれるが、なるほどそれは事実かもしれないが、やっぱり人間は、そう簡単に割り切ってしまえないものなんだということを実感する。

だからこそ、未来みらいを、ルコアを守れたことが幸いか……

俺は、たまらない脱力感を覚えながらも、自分にそう言い聞かせていた。

そうだ。この時、俺は完全に終わった気になっていたんだ。

当然だよな。直径数百メートル、千度を超える<火の玉>に飲み込まれたとなれば、たとえがく夷嶽いがくでも耐えられないだろう。それに牙斬がざんは焼かれたんだ。生きていられるはずがない……

はずがないのに、久利生くりうは警戒を解かなかった。

当然か。これから牙斬がざんの死体を捜索し、死亡を確認してようやく状況終了ってことになるんだ。軍人である久利生くりうは当然、それをわきまえてる。

安全を確認した後、ハートマンとグレイが、ドーベルマンMPMを伴って捜索を開始する。ビアンカも、油断なくショットガンを構えたまま、その様子を見守っていた。

彼女も、まだ、警戒を解いていない。

正直、素人の俺としては『何もそこまで』と思ってしまう。あんなものに生物が耐えられるとは思えない。牙斬がざんは死んだんだ。他の動物達と一緒に……オオカミ竜オオカミ達と一緒に……

なのに、その時、ドーベルマンMPMの一機が、バンッ!と弾かれるようにして、胴がちぎれて飛んだ。

「な…っ!?」

俺はまた声を上げてしまったが、ビアンカはショットガンを構え、久利生くりうは、

「抑えろ!」

ハートマンとグレイに指示を出した。俺が遅れて、

久利生くりうの指示に従え!」

と命じたが、その一瞬の遅れが命取りだった。焼け焦げた土の中から何かが飛び出し、ハートマンとグレイを振り切って奔ったんだ。

残されたのは、焼け焦げた猪竜シシの死体と、地面に掘られた穴。

猪竜シシオオカミ竜オオカミ等の天敵から身を隠すために掘った穴に自分が潜って猪竜シシを盾に使ったんだ。

牙斬がざんが……!

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