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第三世代

モニカとハートマン編 稲妻

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グレイが合流したことで、明らかに流れが変わった。ハートマンとドーベルマンMPMだけでは攻め切れなかったのが、牙斬がざんを圧倒し始めたんだ。

ロボットであるハートマンとグレイは、人間以上に確実な連携を行える。人間の場合は、どれほど息の合う者同士でも、完璧にお互いの思考を同調させることはできない。

一方、ロボットは、何度も言うように、リンクすることによって、<複数の体を持った一体のロボット>として機能することもできる。戦闘時には、<個性>や<キャラクター>と呼べる部分を抑えて、個体差をなくすこともできるし、逆にその個体差を活かした戦術も取れる。これがロボットの強みだ。

牙斬がざんがどれほど生物としては有り得ない力を持とうとも、ここはどうにもならない部分のはずだ。

正直、絵的にはハートマンとグレイが二機がかりで牙斬がざんを一方的に痛めつけているようなそれだから、少し可哀想にも思えてきてしまう。しかし、ここで手を抜くと、一気に形勢をひっくり返される予感もある。何しろ、これだけハートマンとグレイの容赦ない攻撃を受けながらも、動きが一向に衰えないんだ。ゲームで言うと、HPが一万あるボスに対し、一回の攻撃で十しか削れない感じだろうか。

それでも、ハートマンもグレイも、スタミナは無尽蔵だ。千回殴らなきゃいけないなら、千回殴ることだってできる。このまま力押しで押し切ってしまえばいい。それができるのが、ロボットなんだ。

なのに、これだけの猛攻を受けながら、牙斬がざんの目には力が漲っていた。憎悪の炎が少しも衰えない。

それどころか……

ハートマンの<右の拳>が命中する瞬間、体をくるりと回転させて受け流し、そのまま腕にしがみついて、一瞬で右腕を捻じ切ってしまったんだ。

バキャッ!

という嫌な音と共に、ハートマンの右腕の肘から先がちぎれ、地面に落ちる。

もちろん、グレイもそれを黙って見ていたわけじゃない。人間のように動揺することもなく、ハートマンの右腕を抱えて宙にいた牙斬がざん目掛けて蹴りを繰り出す。

なのにその瞬間、

バシンッ!

空気そのものが破裂するかのような音と共に、稲妻のごとき光が奔る。いや、まさに<稲妻>だったんだろう。

「!?」

グレイの体が一瞬硬直し、その隙に牙斬がざんは間合いを取った。

時間としては十分の一秒程度だったかもしれないが、牙斬がざんにとっては十分な時間だったようだ。

おそらく、これまでで一番強力な<電撃>だったと思われる。

とは言え、かつて例の不定形生物の襲撃を受けた際に、エレクシアが、自らのバッテリーに貯えた電気を一度に放電し撃退したことから、ドライツェンも同じことができるようにと、表面に敢えて電気が流れやすい部分を設けてそのまま地面に逃がし内部を守るようにしてあったことで、致命的なダメージにはならなかったけどな。

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