1,198 / 2,387
第三世代
モニカとハートマン編 ルコアのために
しおりを挟む
俺や久利生は、<責任を負う立場>だ。楽観的な想定に基づいて決断をした結果、最悪な事態に陥ったりしたら目も当てられない。
だから、どれほど魅力的な<楽観的な想定>があったとしても、そちらを採用することはできないんだ。
責任を負う立場にない者達から、
『考えすぎだ!』
『その想定が間違っている!』
となじられようともな。
<責任を負う立場>というのはそういうものなんだよ。
だが同時に、いくら悲観的な想定がされたとしても、決断はしなければならない。想定するばかりで決断できなければ意味がない。
ゆえに、
『悲観的な想定をした上で最大限の良い結果を得られるように対応策を練り、それを実行する決断を行う際には、『きっと上手くいく』と楽観的なくらいに気負い過ぎないようにする』
のが大事なんだと思う。
どうせ決断しなけりゃならないのは変わりないんだからな。だったら思い切れる方がいいじゃないか。
久利生は、それをわきまえている軍人だ。正確には、
<軍人だった久利生遥偉の人格と記憶を受け継いだ優秀な人物>
だが。
それでも、彼の存在は本当に心強い。彼が仲間に加わってくれたことで、俺が精神的にどれだけ救われてるか。
エレクシアやシモーヌや光や灯は、俺を支えてはくれるが、癒してはくれるが、正直、負担は分担してはくれない。いや、少なからず一緒に責任を負ってはくれてるんだが、俺が決断する後押しはしてくれてるんだが、根拠にはなってくれてるんだが、久利生のそれとはやっぱり違うんだよ。
そんな久利生の指示の下、ハートマンが自身の能力を出し惜しみすることなく牙斬と対峙してくれている。
普通の人間ならそれこそもう何度も即死しているであろう凄まじい攻撃を連続して繰り出して。四本の脚と、それ自体が強力な武器となる二本の腕を自在に使い、人間にはできない戦い方をする。
脚が四本あることで、そのうちの二本でフットワークを使いつつ、残る二本が連続して蹴りを繰り出すのに加え、『どうしても腕は脚より力が劣る』という人間の肉体の構造上避けられない制約など関係ない、ロボットならではの『脚と変わらない力を持つ強靭な腕』のそれは、
『四本の脚で同時に蹴りを繰り出す』
に等しい打撃力を発揮していた。
ルコアを守るために。
そうだ。ハートマンは、ルコアを守ることを最優先事項としている。俺がそう命じたからだ。しかし、最初はそうだったかもしれないが、今ではハートマン自身がそう考えている。彼に搭載されたAIが、そういう形で成長したんだ。
黙々と、ただ黙々と、ルコアのために彼は戦っているんだ。
だから、どれほど魅力的な<楽観的な想定>があったとしても、そちらを採用することはできないんだ。
責任を負う立場にない者達から、
『考えすぎだ!』
『その想定が間違っている!』
となじられようともな。
<責任を負う立場>というのはそういうものなんだよ。
だが同時に、いくら悲観的な想定がされたとしても、決断はしなければならない。想定するばかりで決断できなければ意味がない。
ゆえに、
『悲観的な想定をした上で最大限の良い結果を得られるように対応策を練り、それを実行する決断を行う際には、『きっと上手くいく』と楽観的なくらいに気負い過ぎないようにする』
のが大事なんだと思う。
どうせ決断しなけりゃならないのは変わりないんだからな。だったら思い切れる方がいいじゃないか。
久利生は、それをわきまえている軍人だ。正確には、
<軍人だった久利生遥偉の人格と記憶を受け継いだ優秀な人物>
だが。
それでも、彼の存在は本当に心強い。彼が仲間に加わってくれたことで、俺が精神的にどれだけ救われてるか。
エレクシアやシモーヌや光や灯は、俺を支えてはくれるが、癒してはくれるが、正直、負担は分担してはくれない。いや、少なからず一緒に責任を負ってはくれてるんだが、俺が決断する後押しはしてくれてるんだが、根拠にはなってくれてるんだが、久利生のそれとはやっぱり違うんだよ。
そんな久利生の指示の下、ハートマンが自身の能力を出し惜しみすることなく牙斬と対峙してくれている。
普通の人間ならそれこそもう何度も即死しているであろう凄まじい攻撃を連続して繰り出して。四本の脚と、それ自体が強力な武器となる二本の腕を自在に使い、人間にはできない戦い方をする。
脚が四本あることで、そのうちの二本でフットワークを使いつつ、残る二本が連続して蹴りを繰り出すのに加え、『どうしても腕は脚より力が劣る』という人間の肉体の構造上避けられない制約など関係ない、ロボットならではの『脚と変わらない力を持つ強靭な腕』のそれは、
『四本の脚で同時に蹴りを繰り出す』
に等しい打撃力を発揮していた。
ルコアを守るために。
そうだ。ハートマンは、ルコアを守ることを最優先事項としている。俺がそう命じたからだ。しかし、最初はそうだったかもしれないが、今ではハートマン自身がそう考えている。彼に搭載されたAIが、そういう形で成長したんだ。
黙々と、ただ黙々と、ルコアのために彼は戦っているんだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる