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第三世代

モニカとハートマン編 ぶん殴る

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牙斬がざんと接敵したハートマンは、喰らいついてきたところを横から殴り付けた。小さく折りたたんだ右腕を素早く回転させるフック系のパンチだった。

しかもそれは、みずちの攻撃にも耐えうるように装甲された上に打撃の際に手指を損傷しないようにと付けた頑強なカバーを利用したそれは、でかいハンマーでぶん殴られるような威力があるはずだった。人間なら一発で頭部に重大な損傷を受けて即死するのが当然というレベルの攻撃だ。

なのに、牙斬がざんは、吹っ飛ばされながらも体を捻って着地し、「グウウッッ!!」と牙を剥いた。少しも怯んだ様子さえない。

きょうみずちがく、それらと同じく、生物としては歪なほどに攻撃衝動と破壊欲求に支配されたその姿は、やはり<動物>ではなく<怪物>だという印象がある。

動物というやつは、生きるためには敵や獲物に容赦なく襲い掛かったりもするものの、その本質は、無駄な争いは好まないものだ。たとえその場から逃げ出してでも、争いを避けようとする傾向がある。

なのに、きょうみずちがくにはそういう部分がほとんどない。辛うじてきょうには、戦局を見極めようとする傾向がいくらか見受けられる時があっただけだ。

しかし牙斬がざんからはまるっきりそれが感じ取れない。みずちがくと同じだ。

まったく……何者が牙斬がざんらを生み出したか知らないが、悪趣味にもほどがあるぞ。

なんて、俺の困惑などお構いなしで、牙斬がざんはハートマンに襲い掛かる。

とはいえ、ハートマンとて無策で突っ込んだわけじゃない。随伴させた六機のドーベルマンMPMとリンクし、あらゆる方向から一斉に攻撃を仕掛ける。自動小銃じゃおよそダメージを与えられないことが分かっているから、それこそ容赦なく銃撃を浴びせる。陽動として。それによって意識を逸らさせ、ハートマンが強烈な打撃を加えるんだ。

小口径の自動小銃など豆鉄砲に過ぎなくても、<脳>を持つ動物である以上、頭部への打撃は脳震盪などを引き起こさせる可能性は高い。先ほどの一撃でも分かるとおり、並みの動物ではないから、それこそ一撃で殺してしまう心配もない。ここまでのドーベルマンMPMらの攻撃により多くの毛皮は剥がれ落ち、その下に生えた鱗が露わになった牙斬がざんも、何層にも生えた鱗がクッションの役割もし、打撃の威力を和らげることも分かっている。

ならば、気を失うまでぶん殴るだけだ。

が、一応、ドーベルマンMPMにも装備させた麻酔銃を試してみる。試してみるものの、

「やはりダメか……」

鱗に弾かれ地面に落ちたのだった。

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