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第三世代

モニカとハートマン編 接敵

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完全に認めるしかない。ドーベルマンMPMを何機差し向けても、牙斬がざんを倒すどころか捕獲することさえままならない。それこそ、サーモバリック爆弾でも投下して半径数百メートルの範囲内の生物すべてを巻き添えにして焼き殺すくらいのことをしないと。

電磁加速質量砲レールガンでも、当たれば倒せるとしても、おそらくその『当てる』ということができないだろう。ドーベルマンMPMでは。それどころか、エレクシアでも、取り回しの悪い電磁加速質量砲レールガン牙斬がざんの動きを捉えることはできないだろうな。

がくの時は敢えて遠距離から狙撃しようとしたことで、着弾までコンマ数秒の時間を要し、電磁加速質量砲レールガンが発生させる強力な電磁波を察知されて発射してから動いても躱せてしまえた。これは、人間(地球人)でさえ、発射のタイミングさえ完璧に捉えられればできる芸当だ。

コンマ数秒の間にほんの数十センチ動けばいいわけだからな。

何しろ、秒速約一メートル強で時速約四キロ。人間が歩く速度だ。

距離が近付けば着弾までの時間は短くなるものの、その代わり今度は、全長約二メートル、重量十数キロという電磁加速質量砲レールガン自体の大きさ重さがネックになる上に大きな反動を抑えるには地面に固定しないといけないわけで、そもそも至近距離ですばやく動く標的を狙う武器じゃない。さすがに生身の人間だと電磁加速質量砲レールガンから音速を遥かに上回る速度で撃ち出された弾体が出す衝撃波でダメージを受けるとしても、それすら、装甲服でも身に付けてれば防げてしまう。

でも、取り回しのいい自動小銃やショットガンでは今度は威力が足りない。

まったくもって、どうにもならない。

小火器を寄せ付けない装甲と、小回りの利かない高威力の火砲では捉えきれない運動性。戦闘用のレイバーギアや<アームドエージェント>と呼ばれる辺りのロボットのコンセプトそのものだ。

本当にふざけている。そんなものを生物で再現しようだとか。

そして……

「!?」

牙斬がざんが何かに気付いたかのように頭を向けた。

「まさか!?」

俺は思わず声を上げてしまう。だが、その『まさか』だった。牙斬がざんがビクキアテグ村へと頭を向けたんだ。風が巻いて、ビクキアテグ村の匂いを運んだのかもしれない。今は人間がいないコーネリアス号よりも確実に濃い人間の匂いを含んだビクキアテグ村の匂い。

だがその時、牙斬がざん目掛けて奔る影。

「ハートマン!!」

そう。ハートマンだった。牙斬がざんを迎え撃つべく進出したハートマンが、自動小銃を放ちながら迫ったんだ。

それに対して牙斬がざんも反応。腕で目を庇いつつハートマンに向けて走る。

しかしハートマンの方も、ドーベルマンMPMのようには容易くやられたりしない。

「ガアッッ!!」

咆哮をあげながら牙を突き立てようとする牙斬がざんの頭を、横から殴りつけたのだった。

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