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第三世代

モニカとハートマン編 試行錯誤

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俺は決して専門家じゃないから、あの<白いルプシアン>のサイズで強力な電磁バーストなんてものが発生させられるのか、科学的にそんなことが有り得るのか、そこまでは分からない。分からないが、現にそれが発生しているのなら、現実に則した対応をするだけだ。

もとより、<体組織も体液も何もかも透明な生き物>なんて非常識な存在を作り出すあれが、俺達地球人類の知る物理法則に則ったものである保障もまったくないしな。だからその辺りは考えるだけ無駄だろう。俺達は俺達にできることをするしかない。

エレクシアはミレニアムファルコン号でビクキアテグ村へと急行し、久利生くりうやビアンカやハートマンやグレイは、第一種警戒態勢を取り、<白いルプシアン>の襲来に備える。

俺達の目的は、あくまで、

『犠牲を出さない』

こと。

エレクシアが言ったことが事実なら、

<人間に強い恨みを持つ怪物を倒すたびにさらに強力な怪物が現れる可能性>

はまだ否定はされていない。単純に<白いルプシアン>を撃破すればいいというわけじゃない。脅威は脅威として冷静に受け止め、その上で、<共存>、いや、<折り合い>を付けていくしかない。

そして、今の時点ではどう対処するのが正解なのか分からない以上、試行錯誤を続けていくしかない。

人間(地球人)の歴史自体が、それの連続だったはずだ。特に、未知の細菌やウイルスとの戦いとかについてはそれこそ。

俺達の場合は、肉眼じゃ見えない細菌やウイルスとは違って実感しやすい相手だからな。まだやりやすい方かもしれない。

だが、同時に、油断していいわけでもない。それで油断して犠牲を出してたんじゃ、悔やんでも悔やみきれない。まったく犠牲を出さないなんて都合のいい話はないとしても、それは対処する努力をしなくていい理由にはならない。

こうして俺が気持ちを作っている中、新たな状況が。

久利生くりうの提案で派遣したドローンが、<白いルプシアン>の姿を捉えたんだ。そいつも、きょうがくと同じように、明らかにドローンを見ていた。そしてその目は、きょうがくのそれに通じる、憎悪をはらんだものだった。

「間違いない。エレクシアの言うとおり、こいつががくの後継だ……」

思わすそう呟いてしまう。

夷嶽いがくには感じなかったものが、こいつからは感じ取れてしまったんだ。

無論、俺の直感が正しいとする証拠は何もない。何もないが、同時に、それを否定する証拠がないのも事実ではある。

「……牙斬がざん…これよりこいつを<牙斬がざん>と呼称する」

何もかも切り裂きそうな牙を覗かせてドローンを睨みつける<白いルプシアン>の姿を見ていて頭に浮かんだそれを、俺は口にしたのだった。

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