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第三世代

モニカとハートマン編 鬼ごっこ

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<フライトユニット>によって回収されたドーベルマンMPMをコーネリアス号の工作室で調べると、制御装置の一部が焼き切れていることが確認された。

これで、夷嶽いがくが起こす電磁バーストによって電磁パルスが生じ、シールドが十分でなかったドーベルマンMPMには大きなダメージになったことが確定したな。

<銃>に加えて<電磁パルス兵器>とか、いやはや、油断ならない。

とは言え、こっちも手をこまねいて見ているわけにいかないし、早速、ドーベルマンMPMとドーベルマンDK-a用の<対電磁シールド>の製造に入ってもらう。それ自体は、アリスやドライツェン用のそれを改修するだけで済むからそんなに手間でもない。








新暦〇〇三三年九月十九日~二十七日。



こうして用意されたシールドを、待機していたドーベルマンMPMに施し、フライトユニットを装着させて発進させる。代わりに、今、夷嶽いがくを誘導している機体を帰投させてやっぱりシールドを施し、改めて発進させる。

ちなみにこの<対電磁シールド>。物理的にもそれなりの強度を持たせたので、夷嶽いがくの<銃>に対しても効果を発揮するはずだ。

なお、電磁パルスで制御系の一部が焼き切れてしまったドーベルマンMPMも修理と改修を終え、再び発進。ロボットだからそんな酷使にも何一つ文句を言わない。いやはや、頭が下がるよ。

これにより、夷嶽いがくは北へ北へと、コーネリアス号から遠ざかってくれた。

その間に、ルコアも無事、ビクキアテグ村での連泊を終え、ビアンカと共にコーネリアス号へと帰っていった。彼女に心配や不安を掛けずに済んで良かったよ。



さらに数日を掛け、コーネリアス号からの距離が百キロを超えたところで、電磁加速質量砲レールガンでの狙撃要員として派遣していたグレイとハートマンと二機のドーベルマンMPMの任を解き、フライトユニットを装着させて帰還させる。

同時に、<サーモバリック爆弾>を装備したドーベルマンMPMも帰還。警戒レベルを大きく引き下げた。

「何とか上手くいったな……」

俺はしみじみ呟いてしまう。

「ああ。思いがけない能力を夷嶽いがくが備えていたことで『ダミーの集落に引き寄せる』という形では上手くいかなかったものの、結果としては誘導に成功したわけだから、今後、今回のデータを参考に体制を改めていけばより確実に対処できるだろう」

久利生くりうも言ってくれた。

それなりに緊迫もしていたものの、ルコアには心配を掛けずに済んだのは幸いだったよ。

ルコア自身、初めての二泊三日のビクキアテグ村での宿泊も問題なく終えられ、ビアンカやモニカやハートマンと一緒にコーネリアス号へと帰っていったしな。








新暦〇〇三三年十月四日



で、ドーベルマンMPMと夷嶽いがくの<鬼ごっこ>は、二週間が経過した今でも続いている。

これについては、俺が派遣を命令した<基幹ドローン>を通じた給電が役に立ってくれたんだ。

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