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第三世代
モニカとハートマン編 保険
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<次善の策>について、久利生は、さらに、
「加えて、コーネリアス号の装備品の中に<サーモバリック爆薬>があるので、それも準備しておきたい」
と口にした。
「サーモバリック爆薬?」
俺は、すぐにはピンとこなかった。コーネリアス号にも確かに爆薬の類はあったと思うが、どれも探査の際に使うであろう小規模な<炸薬>だったと認識してる。
するとイレーネが、
「防衛用に装備されたものです。通常は爆薬としては機能しませんので、一見しただけではそうとは分からないように保管されています」
補足する。
「そうなのか…?」
イレーネは、決して隠していたわけじゃない。俺が訊かなかったから応えなかっただけだ。シモーヌも、
「え? そんなものが装備されてたの?」
呆気にとられた様子。
それに対して久利生は、
「サーモバリック爆薬は、大規模な防衛戦を想定して準備されていた軍用の装備だから、一般の乗員には知らされていないんだ。しかも、イレーネの言うとおり、通常では爆薬としては機能しない。火に放り込んでも爆発しない。専用の装置にセットして初めて爆薬として機能するんだ。これまで使う機会もなかったからね。ビアンカも口にしなかっただろう?」
そう説明してくれた。確かにビアンカからもそんな話は聞いていない。まあ、彼女も軍人だったからな。軍の装備品については必要がない限り話したりしないか。そういう意味でも優秀な軍人だったことが分かる。部外者にそんなことをほいほい話すようでは、軍人失格なんだろう。
だからまあそれはさておき、久利生の話を聞く。
「サーモバリック爆薬は、非常に乱暴に説明すれば、十数メートルから数百メートルの広範囲に気化した燃料をばらまいてそれを燃焼させ、その際に発生する衝撃波や熱で生物に致命的なダメージを負わせる形で使われるものだ。ただし、効果範囲内にいる生物はそれにより死滅すると考えてもらってもそれほど間違ってもいないので、使用には厳しい規定が設けられている。
その最大の条件が、『事態が切迫しており、他に有効な手段がないこと』だ。
なので、電磁加速質量砲による撃破も失敗した場合の保険として準備する」
「……つまり、『周囲の生物ごと夷嶽を焼き殺す』ということか?」
「端的に言うとそういうことになる。だから、なるべくは使いたくないものの、想定だけはしておかないといけないからな」
この辺りはやはり<軍人としての厳しさ>ということか。
久利生が積極的にそれを使いたいと思っているわけじゃないのは、こうして話していると分かる。しかし、俺としても、万が一のことは考えないといけないのも事実だった。
「加えて、コーネリアス号の装備品の中に<サーモバリック爆薬>があるので、それも準備しておきたい」
と口にした。
「サーモバリック爆薬?」
俺は、すぐにはピンとこなかった。コーネリアス号にも確かに爆薬の類はあったと思うが、どれも探査の際に使うであろう小規模な<炸薬>だったと認識してる。
するとイレーネが、
「防衛用に装備されたものです。通常は爆薬としては機能しませんので、一見しただけではそうとは分からないように保管されています」
補足する。
「そうなのか…?」
イレーネは、決して隠していたわけじゃない。俺が訊かなかったから応えなかっただけだ。シモーヌも、
「え? そんなものが装備されてたの?」
呆気にとられた様子。
それに対して久利生は、
「サーモバリック爆薬は、大規模な防衛戦を想定して準備されていた軍用の装備だから、一般の乗員には知らされていないんだ。しかも、イレーネの言うとおり、通常では爆薬としては機能しない。火に放り込んでも爆発しない。専用の装置にセットして初めて爆薬として機能するんだ。これまで使う機会もなかったからね。ビアンカも口にしなかっただろう?」
そう説明してくれた。確かにビアンカからもそんな話は聞いていない。まあ、彼女も軍人だったからな。軍の装備品については必要がない限り話したりしないか。そういう意味でも優秀な軍人だったことが分かる。部外者にそんなことをほいほい話すようでは、軍人失格なんだろう。
だからまあそれはさておき、久利生の話を聞く。
「サーモバリック爆薬は、非常に乱暴に説明すれば、十数メートルから数百メートルの広範囲に気化した燃料をばらまいてそれを燃焼させ、その際に発生する衝撃波や熱で生物に致命的なダメージを負わせる形で使われるものだ。ただし、効果範囲内にいる生物はそれにより死滅すると考えてもらってもそれほど間違ってもいないので、使用には厳しい規定が設けられている。
その最大の条件が、『事態が切迫しており、他に有効な手段がないこと』だ。
なので、電磁加速質量砲による撃破も失敗した場合の保険として準備する」
「……つまり、『周囲の生物ごと夷嶽を焼き殺す』ということか?」
「端的に言うとそういうことになる。だから、なるべくは使いたくないものの、想定だけはしておかないといけないからな」
この辺りはやはり<軍人としての厳しさ>ということか。
久利生が積極的にそれを使いたいと思っているわけじゃないのは、こうして話していると分かる。しかし、俺としても、万が一のことは考えないといけないのも事実だった。
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