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第三世代
モニカとハートマン編 青天の霹靂
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ルコアの能力について、採取された遺伝子情報を基にしたシミュレーションで判明したわけだが、あんずが巣から落ちたヒナを拾った時に行ったシミュレーションとは違い、これは生体の働きを見るだけのものだから、精度は格段に上がる。あっちは、<行動予測>だったからな。遺伝子から得られる情報だけでは不確定要素が多すぎるんだ。何しろ、<行動>ってものは後天的な経験や学習などによっても変化してくるわけで。
このことからも、生き物の振る舞いというのは遺伝子だけで決まるわけじゃないというのが分かるというわけか。
まあそれはさておき、その能力のおかげで、按に発見されてから俺が救助を決断するまでの間、彼女は持ち堪えることができたというのもあるのかもしれない。
いやはや、たまたまだったとはいえ、マジで俺も救われた気がしたよ。蛟の例が頭にあったにせよ、俺が躊躇している間に手遅れになっていたりしたら、悔やんでも悔やみきれない。
もっとも、ルコアが危険な存在じゃないと判明しないままで命を落としていたら、むしろホッとしてしまっていたかもしれないけどな。『良かった良かった』って。
その一方で、彼女が蛟とはまったく別のものだと知ってしまった今では、もしそんなことになっていたらと思うと、命が尽きるまでの間にルコアがどんな絶望の中で苦しむことになったかと想像してしまって、これまた頭がおかしくなりそうになる。
彼女を救うことができて本当に良かった。だからこそ、ルコアには幸せになってもらいたいんだ。
そうじゃなきゃ俺は自分が許せなくなる。
だが、その時、
「アラート! <ダミー集落N008>に異常発生!」
イレーネが突然、声を上げた。コーネリアス号のAIからの警報だった。同時に、ビクキアテグ村でも、グレイ(ドライツェン参号機)が同じ文言を告げて、俺とシモーヌと灯とビアンカと久利生に緊張が奔る。まったく前触れもなくもたらされたそれは、まさに<青天の霹靂>というやつだろう。
「何があった?」
「状況報告を!」
俺と久利生が声を上げると、イレーネとグレイがそれぞれ、
「<ダミー集落N008>を構成していたドーベルマンMPM三十三号機が機能停止。直前に捉えた映像がこちらです」
と告げて、タブレットに映像が映し出される。
瞬間、
「嶽……っ?」
「そんな……!」
俺とシモーヌが声を上げてしまう。そう、そこには、確かに<嶽>、いや、<嶽と同種と思しき巨大生物>の姿が、捉えられていたんだ。
ここまでしばらく何事もなかったものの、恐れていたことが遂に現実のものになったのを、俺は感じていたのだった。
このことからも、生き物の振る舞いというのは遺伝子だけで決まるわけじゃないというのが分かるというわけか。
まあそれはさておき、その能力のおかげで、按に発見されてから俺が救助を決断するまでの間、彼女は持ち堪えることができたというのもあるのかもしれない。
いやはや、たまたまだったとはいえ、マジで俺も救われた気がしたよ。蛟の例が頭にあったにせよ、俺が躊躇している間に手遅れになっていたりしたら、悔やんでも悔やみきれない。
もっとも、ルコアが危険な存在じゃないと判明しないままで命を落としていたら、むしろホッとしてしまっていたかもしれないけどな。『良かった良かった』って。
その一方で、彼女が蛟とはまったく別のものだと知ってしまった今では、もしそんなことになっていたらと思うと、命が尽きるまでの間にルコアがどんな絶望の中で苦しむことになったかと想像してしまって、これまた頭がおかしくなりそうになる。
彼女を救うことができて本当に良かった。だからこそ、ルコアには幸せになってもらいたいんだ。
そうじゃなきゃ俺は自分が許せなくなる。
だが、その時、
「アラート! <ダミー集落N008>に異常発生!」
イレーネが突然、声を上げた。コーネリアス号のAIからの警報だった。同時に、ビクキアテグ村でも、グレイ(ドライツェン参号機)が同じ文言を告げて、俺とシモーヌと灯とビアンカと久利生に緊張が奔る。まったく前触れもなくもたらされたそれは、まさに<青天の霹靂>というやつだろう。
「何があった?」
「状況報告を!」
俺と久利生が声を上げると、イレーネとグレイがそれぞれ、
「<ダミー集落N008>を構成していたドーベルマンMPM三十三号機が機能停止。直前に捉えた映像がこちらです」
と告げて、タブレットに映像が映し出される。
瞬間、
「嶽……っ?」
「そんな……!」
俺とシモーヌが声を上げてしまう。そう、そこには、確かに<嶽>、いや、<嶽と同種と思しき巨大生物>の姿が、捉えられていたんだ。
ここまでしばらく何事もなかったものの、恐れていたことが遂に現実のものになったのを、俺は感じていたのだった。
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