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第三世代

モニカとハートマン編 大きな役目

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「おはようございます。ビアンカ様、ルコア様」

目を覚ましたビアンカとルコアにモニカが声を掛ける。

「おはよう、モニカ」

「おはよう」

ビアンカは、床に敷いたマットの上に本体が伏せて、人間の姿をした部分(アラニーズとしての頭)はベッドにもたれかかるようにして眠る。人間(地球人)としてはとても熟睡できるような印象にない寝方だが、これでも十分なそうだ。まあ、野生のヒト蜘蛛アラクネに至っては、胡坐をかいて座った姿勢で寝てるくらいだから、確かにそれでも大丈夫なのかもな。

そしてルコアは、上半身を含む体の半分以上はベッドの上なものの、残りはビアンカに絡まるようにして寝ていることが多い。しかも上半身も、ベッドにもたれているビアンカに寄り添うようにして寝ている。

甘えてるんだ。ビアンカに。そして、ルコアが『甘えたい』限りは、甘えさせる方針である。

それができるようにサポートするのが、モニカとハートマンの大きな役目ということだな。

ロボットが十分な性能を確保するまでは、どうしても人間の親だけで育児と家事と仕事をこなさなければいけなかったこともあって負担が大きく、それが親を追い詰め、結果として虐待などに至る事例も少なくなかったと聞く。そこまででなくても、十分に親にかまってもらえなかった子供が<承認欲求>を拗らせて問題行動を起こすこともあったと。

もっともメイトギアがほとんどの世帯にいきわたった今でさえ、問題を抱えた世帯はあるそうだから、つくづく人間(地球人)というのは業が深いと感じるよ。

とは言え、かつてに比べればまだマシになっているそうだから、効果は確かにあるんだよ。

モニカとハートマンが食材を用意するのも、その一環だ。

ちなみに、今は<バスルームとして使っている方の隔離室>の一部に<ビアンカ用のトイレ>も完備している。それを作ってくれたのも、モニカとハートマン及びドーベルマンMPMだ。

ルコア用のトイレとビアンカ用のトイレ双方を用意しないといけないのも、人力だけだと大変だが、ロボットがそれを補ってくれる。

人間(地球人)がロボットを発展させたのも、『必要だったから』だな。

一方で、人間が必要としている機能のほとんどを実現できてしまったことで、パッと見では、エレクシアと二千年以上の技術格差があるはずのメイフェアやイレーネやセシリアとさえ、具体的な差異がほとんど分からなかったりもする。

性能自体は隔世の感があるものの、その辺りは、まあ、<技術者の自己満足>という面もあるということか。

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