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第三世代

モニカとハートマン編 面倒なことをするストレス

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ルコアについては、メイトギアとして人間のケアについてのノウハウを蓄積してきているセシリアやエレクシアの助言も受けつつ、慎重に丁寧に行っている。彼女にこちらの都合を押し付けず、あくまでルコア自身の様子を見ながら、な。特に精神的な負担については。

『急がば回れ』

を徹底しているんだ。だからこそ、順調に推移してると思う。

こういう時、とにかく早々に結果を出したがる人間は、

『そのくらい我慢させろ!!』

などと言うが、そうやって口出しはするクセに失敗した時には責任は取らない。だから俺は、そういうことを言う奴の意見は意見として勝手にしててくれて構わないが、言いたければ言っててくれて構わないが、採用はしない。責任を負うのは俺なんだから。

それを実現するためにも、<ロボット>が必要だった。

人間はとにかく<文句>を言う。自分の思い通りにならないとキレる。キレて自分の都合を押し付けようとする。サーペンティアンなんていう、彼女の感覚からすれば明らかに<怪物>以外の何物でもない姿に変わり果てて、両親もいない世界に一人で放り出された彼女が受けるストレスにはお構いなしでな。

そうだ。ルコアが受けているストレスの度合いなんて、人間(地球人)には想像もつかないものだろう。シモーヌや久利生くりうは、透明という大きな違いはありながらも生理機能的には人間(地球人)のそれを維持してるから、まだギリギリ本人の気の持ちようでなんとかなる可能性はある。

しかし、アラニーズとして生まれてしまったビアンカとサーペンティアンとして生まれてしまったルコアの絶望がどれ程であったのか、俺には想像もつかない。

この辺りは、メイトギアが蓄えている、

<被虐待児童のメンタルケアのノウハウ>

及び、

<傷痍軍人のメンタルケアのノウハウ>

をはじめとしたそれを参考にしている。

『そのくらい我慢させろ!!』

自分の都合を優先したいがゆえにそういうことを軽々しく口にする奴に任せると、<しなくていいこと><しちゃいけないこと>をして状況を悪化させるのは、メイトギア自身が実際に目撃してきたことだそうだ。

結局、

『<面倒なことをするストレス>から自分が逃れたい』

ってだけなんだよ。だから他人が受けているストレスを、軽んじる。想像しようともしない。理解する気なんてさらさらない。どこまでも、

<自分本位>

なんだ。

でも、ロボットは、<精神的なストレス>なんて受けない。どんなに面倒なことでも大変なことでも、苦もなくこなす。

そんなモニカとハートマンのサポートがあるからこそ、ビアンカもルコアを受け止められる。

しみじみ、アリスとドライツェンを作ってよかったと実感するよ。

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