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第三世代

閑話休題 「あんずとヒナ」前編

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新暦〇〇三四年一月五日。



そんなこんなで、<うららの恋物語>も結末を迎えないまま先送りになってしまったわけだが、まあ、その辺りも人間の思うようにはいかないということだ。

で、アカトキツユ村の<あんず>と<ますらお>について少し触れようと思う。



あんずとますらおは、自分達の<家>を完成させた後、順調に開拓を進めていた。

でも、そんな中で、巣から落ちた<ヒナ>をあんずが見付けたんだ。

正直、そうやって巣から落ちたヒナは他の動物の糧となり、自然の循環へと還っていくのが本来の形だった。だから当然、あんずも放置するはずだった。が、

錬是れんぜ様。いかがいたしましょう?」

とか指示を求めてきたんだ。そこで指示を求めず見殺しにしてても俺は一切、責めるつもりはなかった。なかったのに、

「巣に戻してやることは可能か……?」

って、つい言ってしまったんだよ! くそお!

こうなってしまうともう、見捨てることができないのも人間ってやつだ。そんな俺の指示に従って、あんずはヒナをそっと拾い上げて、重作業用のアームを展開。四本の足と合わせて、巣がある木に器用にするすると登り始めた。

が、間が悪くそこに親鳥が帰ってきてしまって。

こうなるともう、あんずはそれこそ、

<巣を狙う外敵>

以外の何者でもないわけで、親鳥は猛然とあんずを攻撃してきた。

もっとも、せいぜいムクドリ程度の大きさしかない鳥の嘴や足の爪など、あんずにとっては何のダメージにもならない。そのまま無視して強引に巣にヒナを戻すこともできないわけじゃなかったが、

「でも、これ以上、巣に近付こうとすると、最悪、親鳥が巣そのものを諦めて他のヒナ達まで見捨ててしまう可能性があるから、マズいかも……」

シモーヌの指摘が。

「く……やむを得ん。取り敢えず巣に戻すのは中断だ。ヒナの保護を優先し、親鳥がまた餌を探しに出てから再度試そう」

「了解しました」

というわけで、木から降りたあんずは、落ち葉をごそりと拾ってから自分達の<家>に戻り、作業台の上に落ち葉で簡易の<巣>を作ってそこにヒナを置いた。

ヒナは、ピイピイと大きな口を開けて餌を要求する。

そこであんずは家を出て、精密作業用の手で虫を捕らえ、ヒナの下へと運んだ。親鳥が巣を離れるまでの間、そうやって何とか凌ごうというわけだ。

だが、親鳥の方は、完全に警戒してしまったのか、雄と雌、どちらかが必ず巣の近くに残った状態で餌を探しに出るようになった。

「やれやれ、持久戦か……」

まあ、村の開拓はそれほど急ぐ必要もないから、別に構わないんだけどな。

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