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第三世代

麗編 最後の一人

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こうしてあれこれしている中でほんが自身の命をまっとうし、それでも世界は何一つ変わることなくそこに存在していた。

それを嘆いたって恨んだって変えられるわけじゃない。だから事実は事実として受け止めながら、俺達は生きていく。

そこまでじゃなくても、

『自分の気持ちが相手に届かない』

というのも、よくあることじゃないか。嘆いたって憎んだって相手の気持ちは変えられない。強引に力尽くで自分に振り向かせたとしても、それは『愛されてる』とは違うだろう。

そんなものがまかり通る世界が、<生きやすい世界>のわけがないじゃないか。そんなことを認めてたら、どこの誰とも知らない相手に一方的に見初められてもそれを受け入れなきゃいけないことになるぞ?

いいのか? それで?

まあ、見初められることがない人間には関係ない話かもしれないけどな。

いや、実はその辺の恋愛だのなんだのとは限った話じゃないはずなんだ。<価値観>や<イデオロギー>でもそうだ。自分が信じる価値観やイデオロギーを理由に排除されることがない社会だったからこそ、自分は今までそこにいることができた。自分に都合の悪い価値観やイデオロギーを持った人間を一方的に排除できるようになることが好ましいと本気で思っているのか?

自分は、

<自分に都合の悪い価値観やイデオロギーを持った人間を一方的に排除できない社会>

だったおかげで排除されずに来たのに?

そう言うと、

『自分こそが正しいから排除できなかったんだ!!』

とか言い出すのもいるし、頭が痛いよ。

とにかく物事を自分に都合よく解釈するんだ。

『自分に都合の悪い存在は一方的に排除していい』

的な考え方も一度定着すると消し去ることは難しいのは、歴史が証明してる。

AI・ロボット排斥主義者達も、自分達が作ったコミュニティでAIに頼らず社会を作ったら何が起こったのかその事実からは目を背けて、なおもAI・ロボットの排斥を訴えてもいる。

自分達のコミュニティで起こってる問題は、

『AI・ロボットを信奉する奴らの工作だ!!』

だそうだ。

俺なんかはそれを耳にすると、

『頭が痛い……』

と思ってしまうが、彼ら自身は真剣なんだろう。

そんな彼らのことさえ、<排除>はできない。よしんばそれが実行されたとしても、それで排除ができたとしても、次は、また、残った側の中でさらに、

<社会にとって都合の悪い奴>

を探し出してそれを排除しようとし始めるのは、明白だよな。

事実、

『AI・ロボット排斥主義者じゃない者達の間でも、別の軋轢はある』

んだし。

そしてこれは、誰かが<最後の一人>になるまで続くわけだ。

それじゃマズいと人間は気付いたから、<排除>じゃなく<住み分け>によって折り合いを付けようとしたんだ。



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