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第三世代

麗編 阪

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アカトキツユ村に誰が住むことになるのかは分からないものの、アリゼドラぜ村ではりょう鈴良れいらとマッハが、仲睦まじく……とはいかずに、マッハの子育てに忙しい鈴良れいらをよそに、りょうは一人気ままに村のはずれ辺りに陣取って暮らしていた。

ただ、縄張りを接する雌達に現時点でフリーなのはおらず、しかもそのうちの二人ばかりは、りょうの子を生んでこちらも子育ての真っ最中である。

その子達については、敢えて名前は付けてない。積極的に干渉するつもりもないしな。

今度こそ。今度こそ余計な手出しはしないようにと思う。

人間はそんな簡単に割り切れないのは事実でも、だからといってすべてを救うことはできないこともまた事実。

要するに、

<救えなかった時のための予防線を張ってる>

と言われればまさにその通りなんだ。

人間は弱い。気力を振り絞るにもその基となる<何か>が必要で、現実を受け止めるにも、やっぱりその<何か>は要る。

<墓を作るという行為>

も、その<何か>のうちの一つだろう。

俺の場合は、普段からこうして自分に言い聞かせることなんだよ。

と、いかんいかん、また話が逸れる。









新暦〇〇三四年一月二日。



なんてことをしてる間に、ついに、ほんがその時を迎えた。コーネリアス号の船体の陰に体を横たえたまま、静かに息を引き取った。それを、かいが看取る。

彼女の体を舐めながら。

そして、

「うぅおうおうおうぉぉぉ~……」

悲しげに一声上げて……

彼女の命が終わったことを悟ったんだろうな。

こんはすでに巣立ったから、ここにはいない。

レオンは、仲間が死ぬとその亡骸を食べることも多いが、かいの声にコーネリアス号から出てきたモニカ(アリス初号機)とハートマン(ドライツェン初号機)がほんの体を丁寧に抱きかかえ、運ぶ。

かいは、それをただ見守るだけだ。

これは、かいの要望だった。俺の下で育ったからか、ほんを食べることはせず、弔ってもらうことを願ったらしい。

とは言え、敢えて食べないことも実は必ずしも珍しくはないみたいなんだ。他の事例についてはまだ十分に詳細が分かってはいないものの、少なくともかいの群れについては、わざわざ仲間の亡骸を食べなくても十分に満たされてるからというのもあるのかもしれない。

これが、何日も獲物にありつけずに飢えている状態だったら、まず自分達が生きることを優先しても当然だと思う。

こういうところでも、人間は、

『死んだ同族を食べるとか、なんと邪悪な!!』

とか言って、<悪認定>してしまいがちなんだろうな。

ずっとかい達をはじめとしたレオンを見てきてた俺とは、まったく認識が違う。彼らに<悪意>はない。<邪>もない。生きるために必要なことをしているだけだ。

それを、よく知りもしないで自分の感覚だけで<邪悪>と決め付けてしまうことこそが、俺には<邪悪>に見えるけどな。

悪がないところに悪を作るとか。

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