1,102 / 2,629
第三世代
麗編 本人の気持ち
しおりを挟む
俺は、麗にも幸せになってほしいと思ってる。
『子供さえできれば後は雄なんて要らない』
的な生態を持つマンティアンやアクシーズと違って、パパニアンは、基本、かなりの時間をパートナーと一緒に過ごす。碧や命が幸せそうなのは、誉が二人を愛しているからだ。
碧が一番で命は二番。なのは事実でも、当の命がそれで納得できる程度にはちゃんと愛してくれている。最近、また妊娠したみたいだしな。
パパニアンと同じく長く一緒に暮らすレオンである走や凱も、恵や旋達を愛している。
まあ、走は割とその辺り割り切った考えを持ってるみたいだからアレだが、それでもやっぱり、釈達が納得できる程度には気持ちを向けてくれてるんだと思う。
そして新も、麗のことは大事に思ってる。だから、彼女が強引に新を求めても、拒絶はしないかもしれない。実際にそういう関係になれば、もしかすると、新の気も変わるかもしれない。
しかし、『強引に関係を持つ』というのが好ましいとは、俺は思わない。
それがまあ、
『相手も悪からず想っていて、でも踏ん切りがつかない』
というだけの話なら、あくまで<きっかけ>として少々強引に迫るというのも、アリっちゃアリなのかも知れない。
けれど、新は、少なくとも今のところは、『踏ん切りがつかない』どころか欠片もそんなつもりはないらしい。
あいつにとって麗は、<仲間>という以上に<娘>みたいなものなのかもしれない。だから<そういう気分>になれないのか。
なるほどそう考えれば俺も、シモーヌとは夫婦になれたが、ビアンカのことはまったくそういう目で見ていなかった。『それは彼女がアラニーズだから』じゃなく、俺にとっては娘みたいなものだったからだろうな。
だとすれば、それこそ、
『麗と番うことが新にとって幸せか?』
という問題も出てくる。
いや、
『母親は違っても実の妹だった凛と番っておいて何をいまさら』
って言われるかもしれないのは確かなんだが、それに比べれば少なくとも血が繋がっていない麗と番う方がよっぽど<健全>かつ<自然>な気もするんだが、そうじゃない。そうじゃないんだ。血が繋がってる繋がってないじゃなくて、本人の気持ちとして、パートナーになりたい相手かどうかってことなんだよ。それを蔑ろにしてたんじゃ、
『本人の意思に関係なく周囲の都合で好きでもない相手と結婚させられる』
ってのも認めざるを得なくなると思うんだ。俺は、それが好ましいことだとは思わない。
野生の動物さえ、嫌なら拒否できるのが一般的なんだぞ? それをなんで人間は、当人の気持ちを無視して強要できる?
おかしいじゃないか。
『子供さえできれば後は雄なんて要らない』
的な生態を持つマンティアンやアクシーズと違って、パパニアンは、基本、かなりの時間をパートナーと一緒に過ごす。碧や命が幸せそうなのは、誉が二人を愛しているからだ。
碧が一番で命は二番。なのは事実でも、当の命がそれで納得できる程度にはちゃんと愛してくれている。最近、また妊娠したみたいだしな。
パパニアンと同じく長く一緒に暮らすレオンである走や凱も、恵や旋達を愛している。
まあ、走は割とその辺り割り切った考えを持ってるみたいだからアレだが、それでもやっぱり、釈達が納得できる程度には気持ちを向けてくれてるんだと思う。
そして新も、麗のことは大事に思ってる。だから、彼女が強引に新を求めても、拒絶はしないかもしれない。実際にそういう関係になれば、もしかすると、新の気も変わるかもしれない。
しかし、『強引に関係を持つ』というのが好ましいとは、俺は思わない。
それがまあ、
『相手も悪からず想っていて、でも踏ん切りがつかない』
というだけの話なら、あくまで<きっかけ>として少々強引に迫るというのも、アリっちゃアリなのかも知れない。
けれど、新は、少なくとも今のところは、『踏ん切りがつかない』どころか欠片もそんなつもりはないらしい。
あいつにとって麗は、<仲間>という以上に<娘>みたいなものなのかもしれない。だから<そういう気分>になれないのか。
なるほどそう考えれば俺も、シモーヌとは夫婦になれたが、ビアンカのことはまったくそういう目で見ていなかった。『それは彼女がアラニーズだから』じゃなく、俺にとっては娘みたいなものだったからだろうな。
だとすれば、それこそ、
『麗と番うことが新にとって幸せか?』
という問題も出てくる。
いや、
『母親は違っても実の妹だった凛と番っておいて何をいまさら』
って言われるかもしれないのは確かなんだが、それに比べれば少なくとも血が繋がっていない麗と番う方がよっぽど<健全>かつ<自然>な気もするんだが、そうじゃない。そうじゃないんだ。血が繋がってる繋がってないじゃなくて、本人の気持ちとして、パートナーになりたい相手かどうかってことなんだよ。それを蔑ろにしてたんじゃ、
『本人の意思に関係なく周囲の都合で好きでもない相手と結婚させられる』
ってのも認めざるを得なくなると思うんだ。俺は、それが好ましいことだとは思わない。
野生の動物さえ、嫌なら拒否できるのが一般的なんだぞ? それをなんで人間は、当人の気持ちを無視して強要できる?
おかしいじゃないか。
0
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる