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第三世代

麗編 厳選された人材

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あらたの毛繕いを終えても、うららあらたに抱き付いて甘えていた。実は、<父親と娘>だと毛繕いこそしてもこうやって甘えるように抱きつくまではあまりしないようだ。つまりうららは、あらたのことをあくまで<雄>と見做しているということだと思われる。

人間(地球人)も、老化抑制処置のおかげで健康寿命が二百歳となった現在では<年齢差>というもの自体があまり意味を持たなくなっているものの、それでも外見上で<祖父と孫娘>的な取り合わせの場合、さすがに好奇の目を向けられることもある。

揶揄されるようなことも、残念ながらある。

俺自身は、法に触れるようなことでないなら別に当人同士の問題だろうと思ってたんだが、他人の<選択>が気に入らなくてとにかくケチをつけたいという者も残念ながらいるようだ。

LGBTの存在を認めようと、生涯非婚者が増えようと、子供を持たない夫婦が増えようと、結婚し子供を生む人間もいなくはならないし、LGBTや生涯非婚者や子供を持たない夫婦についてはロボットが子供の代わりに支えてくれるから、

『子供を持たない者達を、余所の子供が支える』

という構図も解消され、

『子供を持たないことを自分で選んだ奴らまでなんで俺達私達が支えなきゃいけないんだ!?』

っていう不満も事実上成り立たなくなったことで、他人の選択にそこまで口出しする必要もなくなったはずなのに、それでもなお難癖を付けるのがいなくならないというのも残念ながら事実ではある。

まあ、結局、他人に難癖を付けずにいられない精神状態にあるということなんだろう。メイトギアが傍にいれば、一晩中でも自分の不平不満に耳を傾けてくれるのにそれをせず、わざわざ他人を攻撃するというのは、相当、ヤバい状態なんだろうな。

もっとも、かつての俺みたいにメイトギアを毛嫌いしてる人間もいるのかも知れないが。

『毛嫌いしてるからメイトギアを頼ろうとは思えない』

的な感じで。

絡まれる側にすれば災難極まりないよな。いくら法的にアウトな発言については刑事告訴すれば速やかに対処してもらえるとはいっても、この手の<やらかし>をする奴は、傍にいるメイトギアがいくら忠告をしても、

『自分は正しいことをしてるから罰せられたりしない』

とか思ってて、本当に訴えられるとか考えもしてないらしいから、何だかんだでこういうのはなくならない。

まったく。どういう心理なんだか。

こういったことについても、考慮していかないといけないな。

俺達の間では、今のところ、そういうことは起こっていない。シモーヌ達、コーネリアス号の乗員達は、さすがに<協調性>や<ストレス等への対応力>についても徹底的に審査されて厳選された人材だからだろうが、世代を重ねればそれも関係なくなっていくだろうし。

頭が痛いよ。

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