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第三世代

メイガス編 無数の先例

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さて、あれこれ手を尽くすのは確かに面倒ではあるし、物語的にはいざこざが起こった方が盛り上がるんだろうが、俺は別に他人のそういうのを満たすために生きてるわけじゃないから、遠慮させてもらう。

とにかく、無駄な厄介事を呼び寄せないためにも、細かい対処を面倒がらずに行うんだ。

自分が楽をしたいがためにその辺りをおざなりすることで後で面倒が降りかかってくることがあるのは、それこそ無数の先例が示してくれている。

親が子供を人間扱いせず、

『子供なんてどうせ動物と同じ』

と軽んじることが後に禍根となって返ってくるのも、メイトギア達は傍で見てきた。

『お前は、自分を人間として扱わない奴を尊敬できるのか?』

という話だよ。

しかも、人間(地球人)の場合、

『人間と人間以外の動物は違う。人間は人間以外の動物より尊い存在だ』

と人間を位置付けてきたからな。そういう価値観の中で育ててるのに、

『動物と同じ』

とか、人間として見做してないような態度を取られて、言われて、それで子供が何とも思わないと考えてるのなら、あんまりにも、

『おめでたい』

ってものだと思うんだよ。

だから俺は、徹底して人間は人間として扱うようにしてる。

『どこまでを<人間>と見做すか?』

という問題はありつつも、少なくとも俺が人間だと判断してる相手については、ちゃんと人間として敬うことを心掛けてるんだ。たとえ相手が子供でもな。

<相手を敬う姿勢>

を、親が、大人が、子供の前で示さないで何が<人間>だよ。

とは思ってる。

そのために必要な手間は掛ける。

相手が何を望んでいるのかを知るのも、その一つだな。

ルコアは子供だから、本当は両親と一緒にいたいというのはあるだろう。

しかし今、俺達の前にいる<メイガス>は、

<ルコアを生んだメイガス・ドルセント>

じゃない。記憶も人格も<コーネリアス号乗員、メイガス・ドルセント>のそれを受け継ぎながらも、明確に<別人>なんだ。

だとすれば、このメイガスに、ルコアの母親であることを求めるのは違うだろう。このメイガスに、その義務も義理もない。

なにしろ、ルコアを生んだ事実も、その記憶もないんだからな。

彼女が生んだのは、<クロト>だ。<ルコア>じゃない。

この大前提を基に、俺は、彼女が何を選択したとしても、それに合わせて対応するだけだ。

物語として求められるのは、

『メイガスとルコアが母と子の絆を結び、二人とも幸せになる』

展開だというのは俺にも分かる。そうじゃない展開を望む者も中にはいるだろうが、たぶん、一番多いのは何だかんだ言っても、

<ハッピーエンドを望む層>

だと思う。

が、現実は必ずしもそう上手くいくとは限らない。むしろ、そうじゃない事例が多いからこそ、

『物語くらいはハッピーエンドで』

と思うんだろうし。

俺ももちろん、本音ではそうなってほしいと思ってる。

しかし、そうじゃない結末を迎えたとしても、俺は、メイガスを責める気はないんだ。

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