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第三世代

メイガス編 慣れたやり方

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「……」

「……」

久利生くりうの話に、俺もシモーヌも言葉を失っていた。都市伝説的に語られてはいたことだったが、それを実際に目撃した人間がこんな身近にいたとはね……

ただ、

「でも、僕がこうしてこの話を第三者に明らかにしたということ自体、僕のメンタリティにも変化が生じてるということだろうね。一応、軍からも口外しないようには釘を刺されていたことだったし」

確かに、<人間(地球人)>だった頃の彼なら、決して口にはしなかったんだろう。

ビアンカも、

「少佐がそれを他の人に話しているのを、私も初めて見ました」

とのことだった。

まあ、軍としても、いくら本人が希望したことだとは言え、最終的に宇宙用戦闘艇の生体パーツにしてしまったとなれば、いろいろと面倒なことにもなるだろうし、口外してほしくはないだろうな。

「……それを思えば、仮にも生身の体に生まれられたのは、私個人としては<不幸中の幸い>と感じるかな」

シモーヌが、やっとという感じでそう口にした。続いてビアンカも、

「私も、正直、今の体に生まれたことで自分の感覚に影響を受けてるのは感じます。以前の体では決してできないことができるおかげで、すごく気が大きくなる時があるんです。ただ、今の話のこともあって、『自分を抑えなきゃ』っていうのはいつも意識してますね」

と。

なるほど、アラニーズとして得た超人的な力には溺れないように心掛けてきたということか。こちらがお願いしなくても自分でそれができるというのは、さすがだと思う。

いずれにせよ、<人格>や<気性>というのは、自分が思っている以上に、肉体の影響を受けるんだってことは、改めて実感させられたよ。そういうことも含めて、シモーヌ達が、自分を律することができる人達だったのは、本当に幸いだった。

そうでなきゃ、ここまでにも決して<些細なぶつかり合い>では済まない衝突が起こっていたかもしれない。

つくづく、綱渡り状態だってことを思い知らされるな。

しかし、だからこそ、避けられるトラブルは避けるようにこれからも気を配っていきたいと思う。相手が自分の思い通りになってくれることを期待せず、常に妥協点を探る姿勢を忘れないようにしないと。

ルコアとメイガスのこともそうだ。

こういうのは、常に自分に言い聞かせていないと、上手くいってる時ほどついつい忘れがちになることだと思う。これまで上手くいってたところにそれまでと違う状況が生じることによって別の対応が必要になった時、慣れたやり方に頼ろうとしてしまうのも、人間というものだ。

俺はそれを心に刻みたい。



そうやって俺達が改めて自分達の<在り方>を確認している中、メイガスは治療カプセルの中で穏やかに眠っていたのだった。

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