未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第三世代

当編 適切な力の使い方

メイトギアがあれほどまでに高性能・高機能に造られるようになったのは、エレクシア達のような＜要人警護仕様機＞の存在が物語るように、

『テロなどの凶悪な犯罪に対処するため』

という側面もある。残念ながら、法律や理念だけでは抑え切れないというのは事実だからな。

ここでもいずれはそういう形にもなっていくかもしれないが、必要であればその現実に従って、ここの人間達自らの手によって改良を加えていくことになるだろう。

その必要がないのが理想ではあるものの、テロをはじめとした犯罪が起こることは想定しておかないといけない。いくら俺が楽観論者だと言っても、

＜犯罪一つない理想の社会＞

が実現できると信じられるまでは能天気じゃないし。

今、俺達の集落の運営が上手くいってるのは、シモーヌやビアンカや久利生くりうが、元々、理性的で強い自制心を持っていることに依存している面が非常に大きい。その事実を忘れちゃいけない。

そういう点でも、ルコアの存在は今後の社会の在り方を占う上で非常に重要だと感じてる。

彼女のような存在を追い詰める社会では、おそらく、＜犯罪の温床＞そのものを抑えることは難しいだろう。

ルコアの身体能力は、かなり高いと推測されている。加えて、蛟みずちでも見られた、

＜タングステン並みの強度を持つ鱗を生じさせる能力＞

を潜在的に持っていることは、示唆されている。

今、彼女は、あくまで＜ただの子供＞であるがゆえに、単に不安に怯えているだけだが、今後、彼女が自身に秘められた能力に気付いた時、それによって強引に自分に都合のいい状況を作り出そうとする可能性は、否定できない。それこそ、暴力によって自分達に都合のいい状況を作り出そうとする、テロリストのように。

そこまででなくても、日常の中でもいるだろう？　他人を暴力で威圧して、自分に従わせようとする輩が。

虐げられていた者が大きな力を得ると、それによって力尽くで立場を逆転させようとし始める傾向にあることは、すでに分かっている。暴力で他人を従わせようとする者は、高い確率で親から暴力をふるわれていた事実が確認できるとも言う。＜躾と称した暴力＞から抜け出すために、自身も暴力に頼る傾向にあるんだ。

もちろん全ての事例がそうであるとは限らないものの、メイトギアが実際にその目で見てきた事例にも、高い確率でそれが確認できたという。

『怒鳴ったり叩いたりして子供を従わせようとしていた親に育てられた人間は、同じような形で他人を従わせようとする』

というのをな。

今でこそおとなしいルコアでも、俺達が＜暴力で他者を従わせるという悪い見本＞を彼女に示してしまっては、彼女がそれを学び取ってしまう可能性は高い。

ましてや彼女には、＜強力な暴力を実行できる潜在能力＞がある。だから俺達がその＜力＞をいかに理性的に使うか、手本を示さなきゃいけないんだよ。



そして、＜当あたるの嫁（仮）＞の事例においても、注意が必要だと俺は思ってるんだ。今のところ彼女は、

『クロコディアとして非常に適切な力の使い方をしている』

が、それが彼女自身の意図したものであるのかどうかも、自覚的にそれができているのかも、注視していきたいと思ってる。