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第三世代

当編 クロコディアの番(つがい)

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あたるの嫁(仮)>は、いつの間にか現れた個体だった。とは言え、<不定形生物由来の生物>自体は、まあまあな頻度で生まれてるらしいから、それ自体は別に不思議でもない。他の種族でも同じ事例があるのは確認できてる。

ただ、<透明な体>ってのはやはり奇異に見えるらしく、どうしても生き延びるには不利なようだ。

が、クロコディアの場合は、

<透明な体を通過してきた光>

というのが認識できないらしく、ただの<アルビノ>的な姿に見えているらしいというのが、ここまでの調査で分かってる。

アルビノ自体がそもそも生き残るには不利なものだろうと思われるものの、はるかを愛したちからの例を挙げるまでもなく、そんなことも気にしない個体というのもやっぱりいるんだ。

そして<あたるの嫁(仮)>は、あたるに出逢った。あたるは、彼女の少し特異な体を気にするでもなく、求愛行動をとったようだ。

それにほだされたのか、彼女はあたるを受け入れた。

子供はまだのようだが、仲は良いようだ。

そんな彼女は、ドローンに視線を向けて何かを呟いた後、しゅっと美しい姿勢で河に飛び込み、見えなくなった。たぶん、餌でも獲りに行ったんだろう。

しばらくすると、あたると一緒に河岸に上がってきた。寄生虫などを退治するための<甲羅干し>をするために。

二人してよく日の当たる河岸に横になって寛いでいる。

実に平和で穏やかな光景だ。それを見ている限りでは、確かに<ただのクロコディアのつがい>にしか思えない。



一方、ルコアの方は、ビアンカに寄り添ってもらえて落ち着いているようだ。とは言え、時折、辛そうな表情をするとも……

特に、自分の体を改めて見ると、な。

ちなみに、ルコアが嫌がらない範囲ではあるものの、いろいろ調べさせてもらっている。<隔離室>は、それ自体が巨大な分析器にもなっていて、彼女の体の構造も詳細に調べられる。

すると、人間の上半身とヘビ(に似た別の生物)の下半身とは、破綻なく融合していて、問題なく機能しているのが改めて確かめられた。

で、ここからは少々、下世話な話になるものの<生物>を語る上では欠かせない学術的なことなのでご容赦願いたい。

というのも、生きている以上は<排泄>も<生殖>も欠かせない要素の一つであり、そのための機能を持った<器官>が当然、あるわけだ。

一般的には、ヘビの場合は<総排出口>と呼ばれる穴一つで、排泄も産卵もするわけだが、ルコアの体の一部になっている<ヘビに似た生き物>のそれは、尿道口と膣口が一つになっていて、さらに縦に並んで<肛門>がある。これは、<ルコア専用のトイレ>を作る必要があることも物語っている。

ビアンカの場合は、その体の大きさから専用のトイレを作ったが、ルコアの場合は構造上の特徴に合わせたそれが必要になるな。

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