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第三世代
ルコア編 解析結果
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あの<サーペンティアンの少女>の細胞片の解析結果が出たということで、俺はそれに目を通した。
すると、外見こそは蛟とよく似ているものの、生物的な成り立ちについてはかなり違っていることが分かった。
と言うか、<ブラッシュアップ>されてるんだ。
蛟は、正直、生物としてはあまりにも無理がある構造をしていた。異常に成長が早く巨大化し、バランスを失って、遠からず自滅するのが、採取された細胞から判明したんだよ。
なのに、今回の<サーペンティアン少女>については、もちろん、普通の人間と比べるといささか無理がある構成ではあるものの、蛟と違って早々に破綻するようなそれじゃないのが、比較によって判明した。蛟という貴重なデータがあったからこそ分かったことだ。
「そうか……あの子は、蛟よりは長く生きられるってことだな…?」
俺の呟きに、
「もちろん、この少ないデータだけじゃ確定的なことは言えないけれど、少なくとも蛟よりは<完成>に近付いた生物であることは窺えるかな。<完成>って言うか、『安定した』って表現した方が適切かもしれない。
このデータを見る限りじゃ、蛟が持ってた生物的な矛盾のほとんどが解消されてるみたい。それでも、『人間の上半身に蛇の下半身』なんて無茶苦茶な構造には少なからず無理もあるとは思うけど、それも今すぐ命に係わるようなものじゃないと思う。
まあ、彼女の協力が得られるなら、もっと詳しく調べてみたいけどね。
あと、機能するかどうかは不明だけど、蛟に見られた、<タングステン並みの強度を持つ鱗>を生成する構造の痕跡は確認できたけど、そちらも活性化はしてないみたい。今後、顕在化するかどうかも、今の時点じゃ何とも言えないかな。
それと、取り敢えず危険な病原体も検出されず。既知の常在細菌だけね。免疫機能も良好な数値。まずは健康そのものよ」
シモーヌが説明してくれた。
「蛟とは明らかに<別の種>でありながら、一部、共通した部分もあるということか。いずれにせよ、本人の様子もやたらと攻撃的なわけでもないし、歓迎しても大丈夫ということだな」
俺もホッとしてしまう。
「あくまで、『今のところは』だけどね。さすがにいろいろ想定は必要だとしても、慌てて排除しなきゃならない懸念材料はなし。つまり、人間として彼女と良好な関係を築けるかどうかは、私達次第ってこと」
シモーヌの言葉を受けて、エレクシアにも尋ねてみる。
「どうだ? エレクシアならあの子と上手くやれるか?」
すると彼女は、いつもと変わらない冷めた視線のままで、
「マスターが望むのでしたら、私は自身にできることをするまでです」
と、彼女らしい冷淡な返答をくれたのだった。
すると、外見こそは蛟とよく似ているものの、生物的な成り立ちについてはかなり違っていることが分かった。
と言うか、<ブラッシュアップ>されてるんだ。
蛟は、正直、生物としてはあまりにも無理がある構造をしていた。異常に成長が早く巨大化し、バランスを失って、遠からず自滅するのが、採取された細胞から判明したんだよ。
なのに、今回の<サーペンティアン少女>については、もちろん、普通の人間と比べるといささか無理がある構成ではあるものの、蛟と違って早々に破綻するようなそれじゃないのが、比較によって判明した。蛟という貴重なデータがあったからこそ分かったことだ。
「そうか……あの子は、蛟よりは長く生きられるってことだな…?」
俺の呟きに、
「もちろん、この少ないデータだけじゃ確定的なことは言えないけれど、少なくとも蛟よりは<完成>に近付いた生物であることは窺えるかな。<完成>って言うか、『安定した』って表現した方が適切かもしれない。
このデータを見る限りじゃ、蛟が持ってた生物的な矛盾のほとんどが解消されてるみたい。それでも、『人間の上半身に蛇の下半身』なんて無茶苦茶な構造には少なからず無理もあるとは思うけど、それも今すぐ命に係わるようなものじゃないと思う。
まあ、彼女の協力が得られるなら、もっと詳しく調べてみたいけどね。
あと、機能するかどうかは不明だけど、蛟に見られた、<タングステン並みの強度を持つ鱗>を生成する構造の痕跡は確認できたけど、そちらも活性化はしてないみたい。今後、顕在化するかどうかも、今の時点じゃ何とも言えないかな。
それと、取り敢えず危険な病原体も検出されず。既知の常在細菌だけね。免疫機能も良好な数値。まずは健康そのものよ」
シモーヌが説明してくれた。
「蛟とは明らかに<別の種>でありながら、一部、共通した部分もあるということか。いずれにせよ、本人の様子もやたらと攻撃的なわけでもないし、歓迎しても大丈夫ということだな」
俺もホッとしてしまう。
「あくまで、『今のところは』だけどね。さすがにいろいろ想定は必要だとしても、慌てて排除しなきゃならない懸念材料はなし。つまり、人間として彼女と良好な関係を築けるかどうかは、私達次第ってこと」
シモーヌの言葉を受けて、エレクシアにも尋ねてみる。
「どうだ? エレクシアならあの子と上手くやれるか?」
すると彼女は、いつもと変わらない冷めた視線のままで、
「マスターが望むのでしたら、私は自身にできることをするまでです」
と、彼女らしい冷淡な返答をくれたのだった。
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