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第三世代
晴編 見守るだけに
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新暦〇〇三十二年十月十二日。
環の子に敗れたのに続いてメイフェアにも完膚なきまでに叩きのめされ、それでも晴は普通にしていた。
いつもと変わらずに鳥や小動物を確実に捕え、食う。
だが俺は、そんな様子にホッとする。
「人間ならやる気をなくしたりすることもあるかもしれないが、晴は大丈夫そうだな」
「そうですね。バイタルも問題ありません」
エレクシアが、ドローンのセンサーで収集した晴のバイタルサインを確認し、告げる。
こういう時には落ち込んでくれた方が話的には面白いのだとしても、野生に生きる者にはそんなことをしている暇もないし、そんなことをしていてはそれこそ自分が命を落とす番だ。人間には落ち込んでる余裕があるから落ち込んでいられるんだっていうのが分かるな。
その一方で、ちゃんと経験として身に付けて、自分を生かすために役立てる。
実際、晴もそれ以降、メイフェアに手を出そうとはしなかった。
しなかったんだが、
「メイフェアで懲りておけよ……」
と思うのは、俺が人間だからだな。<ロボット>というものを知らない晴達には、それが理解できない。
今日は、イレーネに襲い掛かったんだ。メイフェアがメンテナンスを受けるためにコーネリアス号に行ってる間の代理として来たイレーネに。
けれど、当然、歯が立つわけもない。
右手右脚が義手義足であり十分な性能を発揮できないイレーネは、左手の指をピンと伸ばして、まるで剣のように構えた。彼女のいつもの戦闘用の構えだ。そこから変幻自在に攻守一体の動きを見せて、晴を翻弄する。
そうしていくらか相手をすると、さすがにメイフェアと同等の相手だということを悟ったのか、今回はぶちのめされる前に逃げてくれた。
いつもこうだったらいいんだけどな。
とは言え、こんな風にして実地で経験を積んで学んでいくのが彼らの生き方だ。当然、その際に命を落とす者も出るわけだが、晴はここまで無事に育ってくれた。
俺としてはそれだけで満足だ。
新暦〇〇三十二年十月十五日。
と、今度は、明と角の縄張りに入り込んできた若いマンティアンに遭遇。
「くそっ! マズいな……」
相手は、若いと言っても完全に巣立ったマンティアンだ。力では確実に晴を凌駕しているだろう。
だが、ドローンはもう一人、マンティアンの姿を捉えていた。
「角……?」
そう。角だった。角が少し離れたところから様子を窺うように見てたんだ。動かずに、じっと。
「そうか……見守るってことだな……」
晴の父親である角が見守るだけにしたのなら、祖父である俺も、余計な手出しはするべきじゃない、か……
今度こそ、見守るだけに留めよう。
今度こそ、な。
環の子に敗れたのに続いてメイフェアにも完膚なきまでに叩きのめされ、それでも晴は普通にしていた。
いつもと変わらずに鳥や小動物を確実に捕え、食う。
だが俺は、そんな様子にホッとする。
「人間ならやる気をなくしたりすることもあるかもしれないが、晴は大丈夫そうだな」
「そうですね。バイタルも問題ありません」
エレクシアが、ドローンのセンサーで収集した晴のバイタルサインを確認し、告げる。
こういう時には落ち込んでくれた方が話的には面白いのだとしても、野生に生きる者にはそんなことをしている暇もないし、そんなことをしていてはそれこそ自分が命を落とす番だ。人間には落ち込んでる余裕があるから落ち込んでいられるんだっていうのが分かるな。
その一方で、ちゃんと経験として身に付けて、自分を生かすために役立てる。
実際、晴もそれ以降、メイフェアに手を出そうとはしなかった。
しなかったんだが、
「メイフェアで懲りておけよ……」
と思うのは、俺が人間だからだな。<ロボット>というものを知らない晴達には、それが理解できない。
今日は、イレーネに襲い掛かったんだ。メイフェアがメンテナンスを受けるためにコーネリアス号に行ってる間の代理として来たイレーネに。
けれど、当然、歯が立つわけもない。
右手右脚が義手義足であり十分な性能を発揮できないイレーネは、左手の指をピンと伸ばして、まるで剣のように構えた。彼女のいつもの戦闘用の構えだ。そこから変幻自在に攻守一体の動きを見せて、晴を翻弄する。
そうしていくらか相手をすると、さすがにメイフェアと同等の相手だということを悟ったのか、今回はぶちのめされる前に逃げてくれた。
いつもこうだったらいいんだけどな。
とは言え、こんな風にして実地で経験を積んで学んでいくのが彼らの生き方だ。当然、その際に命を落とす者も出るわけだが、晴はここまで無事に育ってくれた。
俺としてはそれだけで満足だ。
新暦〇〇三十二年十月十五日。
と、今度は、明と角の縄張りに入り込んできた若いマンティアンに遭遇。
「くそっ! マズいな……」
相手は、若いと言っても完全に巣立ったマンティアンだ。力では確実に晴を凌駕しているだろう。
だが、ドローンはもう一人、マンティアンの姿を捉えていた。
「角……?」
そう。角だった。角が少し離れたところから様子を窺うように見てたんだ。動かずに、じっと。
「そうか……見守るってことだな……」
晴の父親である角が見守るだけにしたのなら、祖父である俺も、余計な手出しはするべきじゃない、か……
今度こそ、見守るだけに留めよう。
今度こそ、な。
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