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第三世代
晴編 必殺の気概
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『何もかもが俺にとって都合のいい世界など、作れるはずがないこともまた現実』
なんて、物分かりのいい理屈で自分をいくら納得させようとしても本当に納得なんてできないのは、俺だって分かってる。
でもな、そうでも考えて自分を納得させようとしない限り、この世と折り合うことなんてできないんだよ。
妹の、光莉のことだってそうだった。
『どうして光莉がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!?』
っていう憤りに振り回されて、
『こんな世界なんか壊れてしまえばいい!!』
と何度考えたか。
それで言えば、テロリスト達がなんでテロを起こすのか、何となく分かってしまう気もする。
まあ、『気がする』だけだけどな。やっぱり本当のところまでは俺には分からないよ。
ただ、
『こんな世界なんか壊れてしまえばいい!!』
って気持ちになることは、確かにあった。
そして今も、自分の<孫>と<曾孫>が殺し合っているという事実に、胸を掻き毟りたくなってる。
そんな俺の<想い>など二人は知るはずもなく、晴と環の子は、戦ってた。
十分に成長したマンティアンなら、たぶん、環の子に勝ち目はなかっただろう。だから本来は近くにいるのを察知したら『逃げるが勝ち』だ。
人間(地球人)が大好きな<プライド>なんてものは、ここじゃクソの役にも立たない。
だから俺も拘らないように心掛けてる。
それでも、まあ完全には捨てきれなかったりもするけどな。それもまた人間(地球人)ってものだろう。
だが、環の子はそんなものには執着しない。
しないんだが、今回はうっかりしてしまったようだ。そういう意味では、遭遇したのが晴だったのはまだ幸運だったのかもしれない。
晴の攻撃は、母親の明のそれに比べればまだまだスピードもパワーも、そして何より、
『確実に仕留める』
という、
<必殺の気概>
が感じ取れなかった。もしかするとその所為で、環の子の方も晴の接近に気付かなかったのかもしれない。
正直、それが唯一の<救い>だった。
パルディアは、皮膚が硬くて食べ難いマンティアンを積極的に捕食はしない。例外的に数件、確認できている程度だ。よほど腹が減ってたんだろう。
環の子についても、襲われたから仕方なく応戦してるだけというのが見て取れる。
だから、晴を撃退さえできれば、もしくは逃げ切れればそれで終わると思う。
そこに期待するしかない。
とは言え、晴の攻撃は一切の手加減はしていないのも分かる。
「がうっ!!」
鋭い爪を生やした両手で、環の子は、晴のカマを弾いて凌ぐ。
しかし晴も、怯むことなく攻撃を続けたのだった。
なんて、物分かりのいい理屈で自分をいくら納得させようとしても本当に納得なんてできないのは、俺だって分かってる。
でもな、そうでも考えて自分を納得させようとしない限り、この世と折り合うことなんてできないんだよ。
妹の、光莉のことだってそうだった。
『どうして光莉がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!?』
っていう憤りに振り回されて、
『こんな世界なんか壊れてしまえばいい!!』
と何度考えたか。
それで言えば、テロリスト達がなんでテロを起こすのか、何となく分かってしまう気もする。
まあ、『気がする』だけだけどな。やっぱり本当のところまでは俺には分からないよ。
ただ、
『こんな世界なんか壊れてしまえばいい!!』
って気持ちになることは、確かにあった。
そして今も、自分の<孫>と<曾孫>が殺し合っているという事実に、胸を掻き毟りたくなってる。
そんな俺の<想い>など二人は知るはずもなく、晴と環の子は、戦ってた。
十分に成長したマンティアンなら、たぶん、環の子に勝ち目はなかっただろう。だから本来は近くにいるのを察知したら『逃げるが勝ち』だ。
人間(地球人)が大好きな<プライド>なんてものは、ここじゃクソの役にも立たない。
だから俺も拘らないように心掛けてる。
それでも、まあ完全には捨てきれなかったりもするけどな。それもまた人間(地球人)ってものだろう。
だが、環の子はそんなものには執着しない。
しないんだが、今回はうっかりしてしまったようだ。そういう意味では、遭遇したのが晴だったのはまだ幸運だったのかもしれない。
晴の攻撃は、母親の明のそれに比べればまだまだスピードもパワーも、そして何より、
『確実に仕留める』
という、
<必殺の気概>
が感じ取れなかった。もしかするとその所為で、環の子の方も晴の接近に気付かなかったのかもしれない。
正直、それが唯一の<救い>だった。
パルディアは、皮膚が硬くて食べ難いマンティアンを積極的に捕食はしない。例外的に数件、確認できている程度だ。よほど腹が減ってたんだろう。
環の子についても、襲われたから仕方なく応戦してるだけというのが見て取れる。
だから、晴を撃退さえできれば、もしくは逃げ切れればそれで終わると思う。
そこに期待するしかない。
とは言え、晴の攻撃は一切の手加減はしていないのも分かる。
「がうっ!!」
鋭い爪を生やした両手で、環の子は、晴のカマを弾いて凌ぐ。
しかし晴も、怯むことなく攻撃を続けたのだった。
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