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第三世代

交・環編 尊敬

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こうかんは、甘える時は必ずしんに甘えてた。俺のことは<仲間>だと認識はしてくれてたらしいが、<お祖父ちゃん>だとは思ってないらしい。

と言うか、そもそも<祖父母>という概念がないのか。

親は親と見てるものの、後は精々<兄弟姉妹>までで、それ以外は<仲間>と解釈するみたいだな。

一方、<人間>として育ってるまどかひなたには、

『おじいちゃん』

『じいじ』

と呼ばれてる。

ただ、れいはまた、<お祖父ちゃん>というのがよく分かっていないようだ。この辺りは、まあ、<個人差>ということでいいと思う。

お祖父ちゃんとして慕ってくれることを強要するつもりもない。

俺は、

『年長者だから敬え』

という考え方は取らないようにしてる。

自分以外の人間を、<自分とは別の存在><他者>として敬うことができればそれでいいだけで、

『年長者だから敬う』

という考えがピンとこないんだ。年長者かどうか関係なく敬えばそれでなにか問題あるか?

『尊び敬う』という意味で<尊敬>ということになると、

『尊敬してもらいたいなら、相手が尊敬したいと思える人間になる』

ことが先であって、『先に生まれた』のは本人の努力でもなんでもないただの<事象>だからな。ただ先に生まれたからというだけで尊敬しなきゃならないんなら、どんなロクデナシでも尊敬しなきゃならないってことになるだろう?

いくらなんでもそれはおかしいだろう。

俺自身は、自分が子供達に尊敬してもらえるほど立派な人間でもないことは、俺自身が一番よく知ってる。

だから尊敬してもらおうとも思ってない。

ただ、慕ってくれる子は慕ってくれてるからな。もうそれだけで嬉しいよ。

『俺を尊敬しろ!』

とか、言いたくもない。なにしろ自分でそんなことを言う大人とか、一ミリも尊敬できないからな。

自分が尊敬できない大人に自分が成っておいて『尊敬しろ!』とか、悪い冗談だ。

だから俺の実感としては、

『年長者だから敬え』

とか口にするのは、自分が他人から尊敬されないことを実は無意識のうちにでも自覚してるからそう言って強要してるんだとしか思わない。尊敬に値すると感じれば、言われなくても尊敬するよ。

シモーヌとかひかりとかあかりとか。今じゃビアンカと久利生くりうのことも尊敬してる。

それどころか、じゅんのことだってある意味じゃ尊敬してるぞ。彼は彼なりに頑張ってくれてるからな。

自分とは血の繋がらない子であるまどかのこともちゃんと見てくれてる。それだけでもう十分に尊敬に値するよ。

そして俺は、自分がそうしてるからって自分以外の人間にも同じように尊敬しろとは言わない。

こうかんに<お祖父ちゃん>として敬ってもらえてなくても、それを二人には強要したくないんだ。

そもそもそんなこと、二人には理解できないだろうしな。

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