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第三世代

交・環編 生きられる場所

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うちにいた頃のこうかんは、二人で遊んでいることが多かった。あかりとも時々は遊んでいたものの、追いかけっこをして家を壊したりもしてたものの、それよりはやっぱり二人で密林に入って遊んでることが多かった印象が、今から思えばある。だから余計に、俺の前で遊んでることが少なくて、それもあってあまり触れる機会がなかったんだ。

あの頃は他に、ようの息子のすいや、ちからはるかの息子できたるの弟のあきらもいたものの、すいすいで、同じようの子であるあかりともあまり遊ばず、一人でいることが多かった。あきらはまあ、クロコディアだからそもそも池の中にいることが多くて、密林に入り浸っているこうかんとは遊び方が合わなかったのか。

とにかく賑やかだったほまれ達の頃とはかなり印象が違うな。まあ、しょうの場合はかいのことが気に入ってただけで、それ以外の兄妹姉妹とはそれほど遊んではないかったのか。めいもおとなしかったし、じょうもステルス能力を発揮して居場所さえ掴ませなかったし。

ほまれほむらあらたそうかいしんさいりん達が飛び抜けて元気が良かっただけとも言えるかな。

それぞれ今では立派な成体おとなになって、子供の頃のやんちゃぶり、お転婆ぶりはすっかりどこへやら、だが。

同じ俺の子供や孫でも、それぞれ性格は違う。それは元々の種族の違いも影響してるんだろうが、でも、<性格破綻者>みたいなのはいなかったと思う。ほむらさいあらたりんのように兄妹でカップルになってしまったり、しんが死産だったれんを食ってしまったりということはあっても、実はそんなに元々の自然の生態から極端に外れたものでもなかった。

そういう意味では、めいの息子のえいが、マンティアンとしてはかなり異質な生き方をしてるというのはあるのか。

とは言え、そんなえいも、俺達と一緒に暮らしている分には実に平穏なものだからな。

元々の習性以上に、攻撃性や凶暴性みたいなものをことさら高めるようなこともしなかった。わざとそんなことをしなくても、めいじょうそうかいしんしょうすいも、際立ってハンデにもなってないと思う。

こうかんもそうだ。

俺の子じゃなくて<しんの子>だったというのもあって俺はほとんど手出し口出ししなかったが、大きなトラブルを起こすでもなく順調に育ち、野生へと帰っていった。

俺はただただ、

『可愛いなあ……♡』

と思って見守っていただけだ。

つくづく、子供ってのは自分の思い通りに操ろうとか考えちゃ逆に上手くいかなくなるんだろうなとしか思わない。

逆だよ。子供自身がどう生きたいと願ってるのかを見極めるのが大事なんだ。

親がするのは、子供が自らの生き方を見付けられるまで生きられる場所を提供するだけなんだろうな。

その上で、自らの振る舞いで<在り方>ってもんを示せばいいんだと思う。

子供はそれを見て学んでくれるよ。

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