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第三世代

鋭編 玲

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新暦〇〇三十一年三月二十一日。



現在、俺達の<集落>には、えいの他にもう一人、マンティアンがいる。

それが、れいだ。

と言っても、まどかと同じく、俺とは血の繋がりはないものの、<先祖返りを起こし人間の姿を得た個体>なので、見た目は地球人のそれである。

れいを生んだ実の母親によって食われそうになっていたところをイレーネに救われ、俺達の家族となった。

同じようにして家族となったパパニアンのまどかひかりに育てられたが、れいはイレーネを母親と認識したらしく、彼女から離れようとしなかった。

今も基本的にはイレーネにしがみついていることが多い。

だが、三~四歳くらいの幼児にも見えるようになった彼女は、最近、えいのことをじっと見ていることが多くなった気がする。

しかも、えいの部屋を覗きこんだりもして。

なお、れいもどうも服を着るのを嫌がる傾向がある。

これは、ひかりあかりが子供の頃にも一時期見られたものだ。まどかひなたも、実はあまり服は好きじゃないらしい。裸でいる方が好きなようだ。

まあなんとかオムツだけは穿いてもらってたが。

れいも、気が付いたら裸になっていることが多い。

人間の場合はいささか困りものではありながら、さりとて彼女達に地球人の感覚を押し付けるのもどうかと思うので、基本的には好きにさせている。<朋群ほうむ人>として文明を築く上で彼女ら自身でその辺りは決めていけばいいんじゃないかな。

で、今も、すっぽんぽんでえいの部屋を覗き込んでいた。

すると、中からえいが現れて……

「……」

「……」

マンティアンは、口の構造が、人間、と言うか地球人と違ってて、地球人と同じ形で発声ができない。しかしれいは基本的に地球人と同じ体をしてるので、俺達と同じように喋ることもできるはずが、ここまでまともに喋ったことがない。

無口なのはマンティアンとしての特徴なのかね。

えいれいも、ただ黙って見詰め合ってた。

鬼のようなつのを生やしたえいと、すっぽんぽんの少女のれい

その二人が一言もなく見詰め合っているだけの光景。

なんとシュールな。

しかししばらくするとえいが、ふい、と視線を逸らして動き出したと思うと、姿が見えなくなった。

いや、実際に消えたわけじゃなく、気配を消した上にすごいスピードで移動したから俺の脳が捉えきれなくなっただけだが。

なのに、れいははっきりとその姿を目で追っていたようだ。

見た目こそ地球人と変わらないれいとはいえ、その本質は紛れもなくマンティアンということなんだろう。なにしろ動くものを捕まえようという習性も見えるくらいだから。

で、マンティアンとして彼女は、もしかするとえいのことが気になっているのかもしれない。

えいも、三ヶ月遅れではあるがたもつと同じ年の生まれ。実はけっこういい歳だ。

老化抑制処置がなかった頃の地球人の場合はこの年齢差はいろいろと言われるところだろうが、まあ、野生動物の場合は年齢差とかそんなに問題ないみたいだし、本人同士がそれでいいなら、俺は口出ししないでおこうと思う。

それに年齢差で言えば、あらたうららはもっとヤバいし。

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