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第三世代
保編 轟
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「錬是様……!」
突然、保に乱暴に絡んできた轟の行いを見て、不安げに報告してくるメイフェアに、
「待て、手出しはするな。少し、様子を見よう」
俺は、何となく予感めいたものがあったことで、彼女にそう告げる。
「……はい…」
メイフェアは少々不満気だが、俺はむしろ逆に落ち着いたよ。
そんな俺がタブレット越しに見守る中、轟に一方的にかかってこられた保も、さすがに反撃に転じた。その姿は、どこか苛立ちも感じさせる。
理不尽に突っかかってきた轟に対するものか、それとも……
まあたぶん、<両方>なんだろうな。
体格的には、轟の方が明らかに有利である。しかもバリバリの<武闘派>だ。単純なぶつかり合いでは保に勝ち目はない。
が、<技>に関して言えば、保も決して引けは取らない。
誉譲りのそれで轟の攻撃を受け流し、反撃にでる。
鞭のようにしなる腕を取って、関節を極めようとした。
なのに、極まらない。轟も誉の<技>は知り尽くしているので、いわゆる<初見殺し>とはいかないからだ。
自ら腕を捩じることで極まりきらないようにした上で、強引に力任せに振り回す。この辺りは元々の体格差が大きいか。
まるで人形のように保の体が宙に浮き、そこに間髪いれず轟の蹴り。
いやはや、やはりさすがだな。この辺りのセンスは保にはない。
しかし、宙に浮いた不安定な体勢ながら身を捻って何とか直撃は免れた保も、優位が取れないと悟るとすぐに頭を切り替えたか手を放して距離を取った。
取ったのだが、轟の方が上手だった。
体勢を立て直そうとしている保にその隙を与えず、鞭のようにしなって迫る一撃。
「がっ……!?」
一瞬、状況が掴めなかったようで棒立ちになったところにさらに蹴り。
いわゆる<視界の外から突然打ち込まれるフック系のパンチ>で横からの攻撃に意識を向けさせ、そこへ真っ直ぐ打ち出した<前蹴り>ってところか。
たぶん、保には轟の前蹴りが見えてなかっただろう。
モロに食らって、大きく吹っ飛ぶ。
普段は仲間と喧嘩することはまずない保だが、今回の轟にはさすがに頭に来たようだ。
「があっっ!!」
轟の前蹴りにふっとばされて、でも何とか体勢を立て直して、飛び掛かる。
だが、そんな保の姿に、俺は少なからず違和感も覚えていた。『らしくない』んだ。
保は本来、この手の安い挑発には乗らないタイプだ。基本的にはスルーし、それでも絡んでくるならとっとと逃げる。
それがいつものパターンだ。なのに、この時の姿は……
「苛立ってるのか……」
俺も思わず呟いていたのだった。
突然、保に乱暴に絡んできた轟の行いを見て、不安げに報告してくるメイフェアに、
「待て、手出しはするな。少し、様子を見よう」
俺は、何となく予感めいたものがあったことで、彼女にそう告げる。
「……はい…」
メイフェアは少々不満気だが、俺はむしろ逆に落ち着いたよ。
そんな俺がタブレット越しに見守る中、轟に一方的にかかってこられた保も、さすがに反撃に転じた。その姿は、どこか苛立ちも感じさせる。
理不尽に突っかかってきた轟に対するものか、それとも……
まあたぶん、<両方>なんだろうな。
体格的には、轟の方が明らかに有利である。しかもバリバリの<武闘派>だ。単純なぶつかり合いでは保に勝ち目はない。
が、<技>に関して言えば、保も決して引けは取らない。
誉譲りのそれで轟の攻撃を受け流し、反撃にでる。
鞭のようにしなる腕を取って、関節を極めようとした。
なのに、極まらない。轟も誉の<技>は知り尽くしているので、いわゆる<初見殺し>とはいかないからだ。
自ら腕を捩じることで極まりきらないようにした上で、強引に力任せに振り回す。この辺りは元々の体格差が大きいか。
まるで人形のように保の体が宙に浮き、そこに間髪いれず轟の蹴り。
いやはや、やはりさすがだな。この辺りのセンスは保にはない。
しかし、宙に浮いた不安定な体勢ながら身を捻って何とか直撃は免れた保も、優位が取れないと悟るとすぐに頭を切り替えたか手を放して距離を取った。
取ったのだが、轟の方が上手だった。
体勢を立て直そうとしている保にその隙を与えず、鞭のようにしなって迫る一撃。
「がっ……!?」
一瞬、状況が掴めなかったようで棒立ちになったところにさらに蹴り。
いわゆる<視界の外から突然打ち込まれるフック系のパンチ>で横からの攻撃に意識を向けさせ、そこへ真っ直ぐ打ち出した<前蹴り>ってところか。
たぶん、保には轟の前蹴りが見えてなかっただろう。
モロに食らって、大きく吹っ飛ぶ。
普段は仲間と喧嘩することはまずない保だが、今回の轟にはさすがに頭に来たようだ。
「があっっ!!」
轟の前蹴りにふっとばされて、でも何とか体勢を立て直して、飛び掛かる。
だが、そんな保の姿に、俺は少なからず違和感も覚えていた。『らしくない』んだ。
保は本来、この手の安い挑発には乗らないタイプだ。基本的にはスルーし、それでも絡んでくるならとっとと逃げる。
それがいつものパターンだ。なのに、この時の姿は……
「苛立ってるのか……」
俺も思わず呟いていたのだった。
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