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第三世代

保編 責任の度合い

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新暦〇〇三十三年一月二十四日。



ところで、話は一旦現在に戻して、あかり達の様子だが、そちらは順調そのものだ。

未来みらいはすくすく育ってるし、ビアンカは久利生くりうに毎日愛してもらえて、お肌も艶々(と言っても実際にはファンデーションで色付けしないと透明なのでなんとなくっていうだけだが)、とても満たされた状態らしい。

その一方で、あかり自身は、久利生くりうとはまだだという。

「私は、ビアンカが十分に満たされてからでいいよ」

とのことだった。

しかし、この展開だと、じゅんとの関係が頭によぎる。あの時も、

じゅんのことは好きだよ」

とは言いつつ、そこから先には進展しないまま有耶無耶になってしまったし、その二の舞になってしまうんじゃないかと、お父さんとしては複雑な気持ちではある。

彼女が自ら選んだことなら口出ししたくはないものの、これもまた心配事の一つなんだ。

親は、子供がいくつになっても心配が絶えないんだなあと思わされるよ。

それで言うと、たもつみどりのことも心配なのは心配なんだが、不思議とまだ胸がざわつく感じは少ない気がする。

<自分がこの世に送り出した子>

じゃない分、責任の度合いも低くなるからだろうか。

しかも、気軽に『可愛い♡ 可愛い♡』って思えるからな。世の祖父母達が『孫にはついつい甘くなりがち』というのも分かる気がする。

かと言って気にならないわけじゃないからなあ。

そんなこんなでメイフェアに見守ってもらって、随時、報告をもらってるものの、さすがにリアルタイムでチェックするところまではいかなかった。この話も、メイフェアからの報告をまとめる作業の中で思い付いたものだ。

この時期はちょうど、ビアンカがうちに来た頃だったからな。彼女のことで手一杯だったという部分もあるし。

ちなみに、ほまれの第二夫人だったしずかが生んだとおると、第三夫人のみことが生んだあきらもかなり立派に育って、いつ巣立ってもおかしくない状態だ。

しかも、とおるあきらも、縄張りを接する他の群れの雌とそれぞれ仲良くなってるからな。たぶん、そのままそっちに合流する感じかもしれない。

縄張りの奪い合いをしつつも、そうやって子供同士が仲良くなることについては、存外、口出しはされないことも多いようだ。この辺りは、他の群れからの合流がないと近親婚が頻発する可能性が高くなるという事情もあるのかもしれない。本能的にそれを避けようという感じだろうか。

その一方で、子供が懐いていない余所者には厳しいという面もあるのか。かつて、それでほまれが追われて、行方不明になって、結果、メイフェアと出逢うことになったわけで。

もっとも、ほまれの場合はそれに加えて自分の縄張りを主張する雄叫びを上げたりしてたから、余計に目を付けられたというのもあるんだろうけどな。

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